註:このページは旧サイト「子づれ散歩旅の絵本」(2004年にいったん閉鎖)のものです。現在は「さんぽのしっぽ」の一部として組み込まれています。アーカイヴを目的に復活させたため、その後のアップデートはおこなっておりません。当時のサイトURLは現在は有効ではなく、一部にリンク切れもあります。どうかご了承ください。
さんぽのしっぽホーム ▼子づれ散歩旅・旧サイトアーカイヴのトップ
Top
散歩旅のもくじ
世紀をこえて冬休み
2000-2001
 

 21世紀である。子どものころは、じぶんが21世紀をむかえるとはついぞ実感をもって考えたことはなかったものだが、いやはや……。
  年末は3日間で6本の映画を観た。こんなに集中的に映画館に通うのは、じつにひさしぶりである。旅とは直接は関係ないが、簡単に感想を記してみよう(まとめてリンク)。

  『ヤンヤン夏の想い出』──一種の群衆劇である。すぐれた台湾映画らしく、なかなか味わいぶかい。日本のポニーキャニオンが出資している。そういう時代なのである。そのためか、イッセー尾形がいい役で出演している。クレジットに「一成尾形」とでているのが笑える。
 『恋の骨折り損』──シェークスピアでアステア=ロジャースをやるという趣向。タイトルバックからそれらしく凝っていて、ミュージカル好きの血がさわぐ。フィーチャーされているのはガーシュイン、カーン、バーリン、ポーターらの名曲で、アレンジも秀逸。おもわずうたってしまった(サントラ盤CDもさっそく買った)。ケネス・ブラナーの才人ぶりには感嘆するほかないが、難をいえば、その教養が自己撞着ぎみである。ちなみに扇田さんの映画評(朝日新聞2000年12月26日夕刊)は的はずれ。
 『ナトゥ踊るニンジャ伝説』──おなじ「ミュージカル」と謳っていてもこちらはサイテー。インド映画へただイージーに便乗しただけ。クリエイティビティのかけらも感じられない。大森一樹はもはや商売にからめとられて、すっかり駄目になってしまったのだろう。客席はがらがらだった。
 『13デイズ』──よくできていておもしろかったが、最後に合衆国万歳となって腰砕けとなる。ハリウッドの大作によくあるパターン。
 『ウーマン・オン・トップ』──ハリウッドらしいといえば、こちらもそう。ブラジルとサンフランシスコを舞台にした「料理と乗り物酔いと愛」をめぐる、なかなか気の利いたシチュエーション・コメディだ。が、それゆえ日本ではウケがわるいかもしれない。ふしぎな題名の意味は途中でわかる。
 『キャラバン』──原題は "Himalaya"。ネパール山中のある村を舞台にしたフランス映画である。といってもフランス人はひとりもでてこず、それどころかひとりの職業俳優すら登場しない。すべて現地の村人なのだそうだ。監督が現地に3年間住み込んで、村人と話し合ってつくったという。えらいものである。ただしストーリーは凡庸。どういうわけかお客さんの入りがよかった。

 この2日ばかり、なぜか『マクナマラ回顧録』(共同通信社)を読んでいる。ベトナム戦争当時のアメリカ国防長官が書いたもの。1995年に原著が出版されたときはずいぶん論争がおきた。1960年代後半といえば、わたしはちょうど、いまの《みの》や《なな》の年頃だった。もちろんそれはただの偶然にすぎないのだが、そのころのあれこれを読みながら21世紀を迎えることになってしまうとは、これも予想だにしない成りゆきであった。


散歩旅のもくじ
あややぎ・こむ top