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2002年5月3日─2003年11月7日
 
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 2002年5月3日以来わが家の足となり旅の栖となってくれていたステッピーとは、きょうでお別れだ。わずか1年半しか乗ってやれなかったことになる。まだ走行距離1万キロを越えたばかりだった。気に入ったものを吟味して買い、長くつかう。それがわれわれ夫婦の流儀だ。だが、今回ばかりはそれが全うできなかった。さまざまな事情を勘案したうえでの決断だったとはいえ、残念な気持ちが拭いきれない。無性にさみしい。

 軽快で気持ちよく、竹を割ったようなさっぱりした気性の、良いクルマだった。昨晩は早めに帰宅してステッピーをGSに連れて行き、洗車してもらった。待っているあいだ、一緒についてきた《みの》と、いったいステッピーで何泊したろうかと話しあった。思い返して指折り勘定してみた。12泊になるはずだった。

 自宅へ戻り、積み込みっぱなしだった荷物を部屋に引き上げ、車内に掃除機をかけた。夕食後、《みの》と二人で駐車場のステッピーに戻り、セカンドシートとサードシートを倒して、寝袋にくるまった。

 「この駐車場で寝るのは初めてだね」
 《みの》が言った。
 「ステッピーで泊まるの、これで何泊目になるんだっけ?」
 わたしの口から、さっきと同じ言葉が出た。
 「13泊目でしょ」

 時折吹く夜の風に、ステッピーはくすぐったそうに体を揺すった。

     

 

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