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破れた100ルピー札
ネパール
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 ネパール・ヒマラヤのランタン谷トレッキングはすばらしかった。一週間の山行を終え、川沿いの道を歩き、1315、麓の村シャブルベンシに到着した。
 ここは一日に1本だけのカトマンズ行きのバスの出発点である。石ころのごろごろした通りの両側に、わずかばかりの木造のホテルが10軒ばかりならんでいた。われわれ一行5人は、そのなかの1軒に部屋をとった。女主人は、イタリアン・コーヒーが得意だという。ホテルの軒先のイスに坐って、コーヒーを飲む。一週間ぶりのコーヒーは、インスタントだとはおもうけれど、それでも、とてもおいしかった。同行のTさんたちは、ちかくにあるという温泉に行くといって出かけていった。
 雨が降ってきた。通りの反対側で石積みの作業が行われていた。みていると、つぎつぎとトレッカーたちが帰り着いてくる。ボブ・マーリーみたいに髪をこまかく編んだ白人のあんちゃんが来た。拾った枝を杖にして、かなりしんどいようすである。かれは、じぶんもここに泊まるよ、と言って、コーヒーを頼んだ。カリフォルニアでコンピュータ関係の仕事をしていたが、辞めて、3カ月間旅をしている。つかっているコンピュータの話になった。わたしが「Macだよ」と言うと、かれは「アップルはもう死んだぜ」と横をむいた。大きなお世話だ(この旅は1997年4-5月にかけて行われた)。
 カナダ人のおじさんもやってきた。往路ランタン村の上で、梵字が刻まれた岩の写真を撮っていた人だ。落ち着いた雰囲気を醸しだしているのだが、旅人とみると「ひとり旅か?」と訊く癖があった。

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