ところで、わがRVRはどうなるのか。
下取り査定では5-10万円になるといわれたが、けっきょく北海道の島牧に住む友人《ガンゼ》さんに譲ることにした。かの家ではプラドをメインカーにしているのだが、セカンドカーとしてRVRをつかいたいという。これまで何度も訪れた島牧で余生を送るのが、RVRにとって、なによりも幸福であるだろう。
RVRの引き渡しは5月1日。そのまえに、ちょっとドライブしようといって、30分ほど走って、市川の「鯉のぼりフェスティバル」を見物しに行った。
国分川とその調整池のほとりに、数百匹の鯉のぼりが泳いでいた。「フェスティバル」と聞いていたが、イベントが行われるのは5月4日だけらしく、この日はただ青空を元気に泳ぐ鯉のぼりたちと、それをながめにやってきた近在のひとたちの姿が見えただけだった。鯉のぼりの上には、何羽もの燕が自在に飛び交っていた。
子どもたちに──これまで一度も許さなかったことなのだが──サンルーフから顔をだしてもいいよ、といった。《なな》はまだ背丈がたりなくて、いくら背伸びをしても、眉毛までしか出なかった。
帰途、コイン洗車場で、簡単にRVRを洗車してやった。駐車場にもどってから、無線機などの車内の備品をいったん自宅へ引き揚げ、代わりにスタッドレスタイヤを荷室に積んだ。
5月1日。
《ガンゼ》さんの弟さんご夫妻──鎌倉在住──がRVRを引き取りにみえた。《あ》と二人で市川駅まで迎えに行った。初対面だが、ほぼ一目でわかった。しばらく同乗してもらって、自宅近くの街道沿いにあるセブンイレブンの駐車場にRVRを入れた。そこからならば、このあたりの道に少々不案内でも、首都高の入口まで容易にたどり着くことができる。
われわれは降車した。距離計は53060kmをさしていた。近年は海外へ旅することが多かったから、年数のわりには距離は伸びなかった。ふたたび走りだしたRVRは、すぐに見えなくなってしまった。セブンイレブンから自宅まで、《あ》とふたりで歩いて帰った。
|