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メキシコ──1999/09-10 |
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4おぼれかけた島で
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とりあえず洗濯をすませて部屋に干し、空調のスイッチを入れた。運転音は勇ましいものの、いかにも効きめがなさそうな代物である。1700すぎ、雨をついて町へでる。 通りはすっかり冠水していた。平たい小さなこの島は、プエルト・フアレスの桟橋脇の木製ボートのように、嵐のなかで、なかば水没しかかっているようにおもわれた。 |
通りはすでに水浸し。 |
LPのMexico編にのっていた "El Mansion" というお店に行くことにした。店のまえのお客の姿はほとんどなく、店のひとが暇そうにテラスから通りを眺めていた。 |
左の黒い瓶が Leo Negre という黒ビール。なかなかうまい。手前のがサルサで、トマトやアヴォカドのペーストをつけてたべる。子どものお菓子でもあり、ビールのつまみにもなる。 |
店が暇なので、ウェイトレスの女の子が来て、《なな》や《みの》のことをかまってくれた。ときおり、雨が激しくなる。店はほとんど壁がない造りで、窓の代わりに帆布の日除けがつけてある。それをめいっぱい張りだして雨よけにしているのだが、そこに猛烈な勢いで雨があたる。バラバラバラ……と、すさまじい音が響いた。 |
ビニール袋に穴をあけて、即席のポンチョをつくる。青いシャツの「桑野さん」は、メキシカンの旅行者らしい。われわれが店にいるあいだにやってきた唯一のお客さん。 |
表は冠水しているからとウェイターくんにいわれ、裏口から外へでた。通りは、文字どおり水浸し。道路は水路と化していた。そのなかを、《みの》は片手に、もらったばかりのお菓子の箱をぶらさげ、ポンチョを着て、じゃぶじゃぶと歩いて、ホテルまでもどった。 |
すっかり冠水した通りを歩いてホテルへ戻る。短パンにサンダル履きなので大人は問題はないが、《みの》の半ズボンはもうぐっしょり濡れている。町の人たちは、やれやれという面もちではあったが、平然としていた。このぐらいの雨は、さしてめずらしいわけではなさそうである。 |
ホテルの部屋の窓際の床に敷いた古タオルは、すでにぐしょぐしょに濡れていた。その夜は、一晩じゅう嵐がつづいた。ときおり雷鳴がとどろいた。カーテンをめくると、プールサイドのシュロの樹が狂ったように揺れまくっていた。旧式の空調が、ガオガオ、ウイーン、グググなどと唸る音を聞きながら、子どもたちはぐっすり眠っていた。 |
──終わり |
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