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はじっこ散歩記
北海道、与那国島、波照間島、ハワイ島──1995/07-08, 1996/10
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 2──最東端をめざす

 それから3日後、《みの》は根室半島の先端、納沙布岬にいた。まだ伝い歩きしかできないから、やはりだっこひもに収まって歩く。岬の灯台の下へ降りて、その先にあって海に溺れる岩場まで足をのばした。よく晴れた、風の強い日だった。北方領土資料館の望遠鏡をのぞくと、貝殻島の赤い灯台が間近にみえた。

 《みの》は日本最東端に立った、とおもった。納沙布岬が最東端と信じて疑わなかったからだ。ところが、あとになって池澤夏樹さんの『南鳥島特別航路』を読むと、日本の最東端は南鳥島だと書いてある。地図帖をひらくと、日本列島のはるか東南の洋上にひとり島が浮かんでいるではないか。南鳥島と、日本最南端の沖の鳥島をむすべば、その直下の諸島にグアム、サイパンと記されているのに気づく。北マリアナ諸島である。なんということだ。《みの》は最東端にも立ちそこなったのである。

 でも仕方ない、南鳥島なんて一般の人はそう簡単には行けないんだから。わたしは自分にそう言い聞かせることにした。あれから3年以上たつ。《みの》はむろん当時のことなどきれいさっぱり忘れている。




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