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散歩旅のもくじ


自然と人工、そしてハレアカラ
マウイ──2000/09

 
1 ──ハレアカラ・ハイウェイ
2 ──山頂からの眺め
3 ──標高10000フィートのチャント
4──女神ペレと英雄マウイ
5──星々にいちばん近い場所
6 ──ハレアカラの両義性
7──自然と文化の「進化」の舞台

     

1ハレアカラ・ハイウェイ

 

 
     

 

 

   信号を右へ曲がると、一面にサトウキビ畑が広がっていた。正面には巨大なボウルを伏せたようなハレアカラの山塊がどっしりとそびえていた。東の稜線の陰から、朝の光が溢れだしていた。連日、雲のなかに隠れていた山に、今朝は一片の雲もかかっていなかった。
[*] 国道番号でいえば、ハナ・ハイウェイ(36号線)から分岐したあと、37号線→377号線→378号線と走り継ぐことになる。ちなみにハワイでは、主要な国道に2桁、2級のそれには3桁の番号がふられているが、3桁国道の上2桁にはそれにつながる2桁国道の番号をいただいている。番号をみただけで、あるていど地理関係が類推できるしくみ。《あ》に指摘されて気がついた。    その朝、われわれは海抜ほぼ0のキヘイのコンドミニアムを出発し、カフルイの町から標高10023フィートの山頂まで続くハレアカラ・ハイウェイを走っていた [*]。ハイウェイといっても、ごくふつうの国道なのだが、整備は行き届いていた。ただ空港で借りたフォード・トーラスは、九十九折りには重すぎた。
 まだ朝の6時だ。寝ているところをおこしてつれてきたので、子どもたちは寝ぼけ眼で機嫌がわるい。カーブが連続する。そのたびにトーラスが揺れる。東側をむいたときには朝日が正面から目に入ってまぶしい。2歳2カ月の《なな》は調子がくるったようだ。アップカントリーとよばれる高原牧場のまんなかまで来たところで、とうとう少しばかり戻してしまった。小休止。
[**] たしかに単純な発想かもしれないが、誰にでも思いつけるものではない。最初にこれを考えついたひとは、なかなかの商売人である。  

 クラの町(というより村)をすぎると、針葉樹の林が姿を消した。対向車線には、揃いの合羽を着た自転車が、だいたい20台ずつ、つぎつぎと走り降りてくる。往路は自転車を積んだワゴン車で登り、山頂で自転車をおろしてダウンヒルだけを愉しもうというツアーの一行だ [**]。何グループもあるらしく、断続的にやってきては、途切れることがないくらい。道ばたには「自転車走行中」と注意をうながす標識までたっている。

[***] エントランス・フィー(入園料)は$10。これはクルマ一台あたりの料金だから、乗車人数は問われない。当日も含めて一週間有効。なおハレアカラ山頂付近がナショナル・パークに指定されたのは1961年。  

 ハレアカラ・ナショナル・パークのエントランスでは、ベージュの制服に身を包んだ女性パーク・レンジャーが「今朝は最高のお天気よ」と笑った [***]。たしかに、すばらしい快晴だった。山頂にある天文台の銀色をしたドームがきらきらと光っていた。8000フィートの標識あたりから森林限界を抜け、灌木すらほとんど生えない高山帯に入った。礫岩の織りなす赤茶色の世界のなかを登り詰めていくと、ほどなくして山頂直下のビジターセンターに着いた。約1時間半のドライブだった。

     
エントランスでもらったハレアカラ・ナショナル・パークのパンフレット。  

 


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