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2 タクシー (石垣空港−離島桟橋) |
「どこから来た?」タクシーの運転手が訊ねた。 「千葉からです」とぼくは答えた。こういうとき、「東京から」と答えると、なんとなくヒンヤリした空気が流れる、というエッセイを以前に読んだことがある。そうかどうかは知らないが、とにかくこのときも運転手のひとは「千葉か!」とおどろいた顔をしてみせて、「石垣はあったかいだろ」とつけくわえた。今朝、自宅をでたときの気温は摂氏1度だった。石垣は20度である。暖かいというより、汗ばむくらいだ。「これでも一年でいちばん寒い時期なんだ。どうだ? 石垣に住まんか」 10分ほどで離島桟橋に着いた。料金810円。10円玉のもちあわせがなく、5円玉と1円玉で支払おうとすると、「いや、やめろ。いいんだ、10円なんか。おまけだ!」と運転手は手を振った。沖縄はタクシー代が安くて、近くでも嫌な顔をしないのがいい。みんなよく利用している。ニューヨークでも同じような話を聞いたことがある。東京のタクシーも、ぜったいに沖縄やニューヨークを見習うべきである。 空港から離島桟橋までは、バス便もある。だが、あちこち寄り道してまわるので、必ずしもつかいやすくはない。午後遅く石垣空港に着いた知人が、バスに乗ったがために、夕方5時半の竹富行き最終の船に乗り損ね、石垣泊を余儀なくされたことがある。 |
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