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4 竹富港 |
港は島の北岸にある。ここが唯一の港である。波照間と違って漁船の姿はない。コンクリートと消波ブロックでがっちり固められた港の印象を一言でいえば、一面の灰白色である。港湾施設は立派だが、それは漁業用ではなく観光用だ。この島は観光の島なのである。多くの観光客は石垣から日帰りで観光に来る。なにしろ高速船で10分の距離だ。港の眼前はすぐ石垣島である。船が着く時間になると、桟橋には島内観光のためのワゴン車が何台もやってきて、待機している。 船は30分おきくらいで頻発している。一日60便以上になるという。八重山観光フェリーと安栄観光の2社が高速船をだしている。なぜか2社とも同時刻に出発し、同時刻に到着する。宿泊していた大浜荘のおじいさんは、かつて八重山観光フェリーの船にのり、25年も機関長をつとめていた。おじいさんに、知人が訊ねた。 「なぜ2社が同時なんですか? 15分ずつ出発時刻をずらせば、もっと便利なのに」 おじいさんは、一瞬ことばを詰まらせた。それから答えた。 「ま、いいんじゃない?」 |
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