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9 公民館 |
午後2時になると、民芸喫茶マキは店じまいになった。きょうは公民館で何か集まりがあるのだという。あちこちの赤瓦の民家から、黒い礼服に身を包んだおじさん、おばさんがわらわらと現れでてきた。 公民館は新しく建てられたらしく、壁もサッシもピカピカだった。それでも竹富島のルールに則って、ちゃんと赤瓦が葺いてあった。集まりは、「第42回巳歳生年合同祝賀会」と銘打たれていた。島に住む巳年うまれのひとたちをお祝いするという趣旨のものらしい。島のひとたちは、何列も並べられた折り畳みテーブルの上にオリオンビールやら泡盛やらをのせて、行儀よく腰かけていた。司会者が巳年うまれのひとをひとりひとり紹介する。よばれたひとは立ち上がって、会場のひとたちにお辞儀をする。それを何度もくり返す。 |
ホールには100名はいただろうか。全員が巳年であるはずがなく、ただ参列したり、見物したりしているだけのひとも少なくないようだった。小さな子どもをつれた若いおかあさんという感じの女性も数名いた。 やがて正面の舞台に踊り子さんが登場し、踊りを披露しはじめた。踊り子は入れ替わり立ち替わり現れた。踊りの合間に、来賓の挨拶がある。挨拶が済むと、また踊り子さんが現れる。それが何度もくり返されるのだった。 |
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