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8 民芸喫茶マキ |
今回は2晩とも、夕食のあとここへ来て、石垣地ビールを飲んだ。前に来たときは石垣地ビールなどというものはなかった。つい数年前にできたものらしい。琥珀色をしているせいか、オリオンビールが薄いせいか、ちょっと濃いめのような気がした。 店には旅行者が姿を見せた。もう10何泊もしていると自慢気にいう20代後半の女の子がいた。いかにも、である。かつて北海道にかよっていたころにもよく見かけたタイプだ。厨房に入ってせっせと店の手伝いをしているので、彼女に注文してから、「お店のひと?」と訊ねると、「お客」とぶっきらぼうに答えた。そう訊ねられるのを半ば期待していたかのようだった。
ときどきふらりと店の外へでる。民家の灯りと、ぽつんと赤くともっている街灯が目立つくらいで、ただ真っ暗だった。湿った風に吹かれているのが心地よく感じられた。 2晩めも10時をすぎ、ぼくらのほかにお客の姿がなくなると、マキのおばさんが1本のビデオを見せてくれた。「種子取祭」という竹富島のお祭りを映したものだ。このときは全国から竹富出身者が集まり、島の宿という宿は満員になる。そういって、おばさんは、かわいがっているらしい大きな猫を抱いた。 |
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