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散歩旅のもくじ

 
  1──石垣空港
2──タクシー(石垣空港−離島桟橋)
3──離島桟橋(石垣港)
4──竹富港
5──集落への道
6──塔にのぼる
7──大浜荘
8──民芸喫茶マキ
9──公民館
10──お土産かつ

     
8 民芸喫茶マキ
 



 民宿大浜荘のすぐ南は郵便局だ。これも最近建てられたものなのだが、赤瓦の建築様式を踏襲している。通りをはさんでその隣が、5年前に来たときに泊まった高那旅館。島で唯一の旅館である。その裏手に、民芸喫茶マキがある。大浜荘からなら、目の前の道を西へ向かってただぶらぶらと300歩も歩いていけばいい。

 今回は2晩とも、夕食のあとここへ来て、石垣地ビールを飲んだ。前に来たときは石垣地ビールなどというものはなかった。つい数年前にできたものらしい。琥珀色をしているせいか、オリオンビールが薄いせいか、ちょっと濃いめのような気がした。

 店には旅行者が姿を見せた。もう10何泊もしていると自慢気にいう20代後半の女の子がいた。いかにも、である。かつて北海道にかよっていたころにもよく見かけたタイプだ。厨房に入ってせっせと店の手伝いをしているので、彼女に注文してから、「お店のひと?」と訊ねると、「お客」とぶっきらぼうに答えた。そう訊ねられるのを半ば期待していたかのようだった。


 ときどきふらりと店の外へでる。民家の灯りと、ぽつんと赤くともっている街灯が目立つくらいで、ただ真っ暗だった。湿った風に吹かれているのが心地よく感じられた。

 2晩めも10時をすぎ、ぼくらのほかにお客の姿がなくなると、マキのおばさんが1本のビデオを見せてくれた。「種子取祭」という竹富島のお祭りを映したものだ。このときは全国から竹富出身者が集まり、島の宿という宿は満員になる。そういって、おばさんは、かわいがっているらしい大きな猫を抱いた。

     

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