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ランタン谷トレッキング
ネパール──1997/04-05
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970425 カトマンズ滞在

 0700に起き、町へ出る。ターメルの南にある市場を見物に行くのだ。
 しかし、ホテルを出て、ターメルへ通じる通路をくぐると雨粒が落ちてきた。目についたレストランへ入り、コンチネンタル・スタイルの朝食をとった。
 雨のあがるのをみはからって、表へ出る。通りは大ぜいの人たちであふれている。自転車に野菜でいっぱいの籠をくくりつけた人。十羽ちかくの鶏をくくりつけた人。店々もすでに開いており、路傍にはおばさんたちが野菜をひろげている。
 時折、大きなお寺に出くわす。尖塔のバランスが日本のそれと異なる。屋根が大きいわりに、躯体がちいさい。そこに塗られた色彩の感覚も、また明らかに日本のそれと異なる。鮮烈な赤がべったりとつかわれている。巨大な目が、こちらをみつめていることもある。仏教ではなく、ヒンドゥー教のお寺なのかもしれないが。
 1030にイミグレーションオフィスへ行く。トレッキング・パーミッションをとるためだ。窓口には早くもかなりの行列ができている。いまひとつ要領がよくわからないが、とにかく書類に必要事項を書き込み、持参してきた写真を用意して列につく。写真のサイズを指定どおりに切らねばならないと経験者であるTさんが言う。ナイフはもっているが、さすがにハサミまではない。困っていると、けっきょく窓口で係のおじさんが親切にハサミを貸してくれた。窓口では下手をするとボールペンをねだられるかもしれない、と、これもTさんが忠告をしてくれていたのだが、係の人たちは存外親切で、なにかねだられるということもなかった。申請には1時間ほどかかった。
 1400にふたたびオフィスを訪れる。パーミッションはぶじに発行されており、受領する。これで、明日から山へ行くことができる。なお、この旅の時点ではイミグレーション・オフィスはターメル地区にあったが、1999年現在、郊外へ移転したという情報を目にした記憶がある。
 ターメルには登山用品店も多い。店先にザックやシュラフをぶら下げ、店内にはボンベやらライトやらコッヘルやらの小物をところ狭しと並べている。そのなかの一軒に入り、われわれは登山用の伸縮できるストックを買った。
 じつはわたしはかなりの疲労感を覚えていた。初めてのカトマンズに圧倒されていた。怒濤のような人、人、人、やたらに声をかけてくるリキシャや闇両替商、けたたましいクラクションを鳴らしながらむちゃくちゃな速度で渋滞につっこむバイク、ゴミ置き場のちかくをとおったときのような町の匂い……。それらとどう向き合えばいいのか、どう受け入れればいいのか、じぶんがどう振る舞えばいいのか、とにかくなにもわからなかった。このとき、何人かにあててハガキを書いた。それらは郵便局ではなく、ターメルにある郵便取次サービスの店のポストに投函したのだが、すべて日本には届かなかった。厳密に言えば、すくなくとも、いままでのところはまだ届いていない。


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