冷却塔——チェルノブイリを見にゆく 20

チェルノブイリを見にゆく話その20。前回その19はこちら。

松の幼木——チェルノブイリを見にゆく 19
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旧ソ連軍の大陸間弾道ミサイル早期警戒レーダー基地跡ドガの見学を終え、チェルノブイリ方面へむかう。

川の対岸に冷却塔が見えてきた。川に見えたが、じつは原発の冷却用につくられた人造湖なのだという。近くには鉄道の引き込み線もあった。資材などを運び込むためのものなのだろうか。

原発用につくられたという人造湖。車内より撮影。

ミニバスから降り、しばらく藪のなかを歩く。

冷却塔。巨大である。

冷却塔はかなり巨大だった。小径にたってズームレンズを広角側いっぱいにしても、とても収まらない。少しうしろへさがってみたが、それでも全体を収めるのはむずかしかった。

冷却塔の基部は鉄骨で浮かせた構造。
冷却塔の内部。原発を冷やした水を冷却する目的のため、内部の構造は簡単で、このようにがらんどうになっている。
基部には壁面がなく、隙間があいている。下から空気を取り入れ、冷却水の熱を奪って上部へ運び排出するためだとおもわれる。
冷却塔の断面の構造がわかる。フレームに薄いコンクリート板を貼りつけてある。
おなじく、冷却塔の壁面のようす。
上部の開口部へむかってすぼまった構造になっているのは、上昇気流の発生をうながすためとおもわれる。

以前にドイツのカルカーへ遊園地になった原発を見にいった。そのときも冷却塔内部に入ることができた(アトラクションになっていたのだ)。あの冷却塔とくらべると、チェルノブイリのこの冷却塔は、高さも内部の径も2-3倍は大きいようだった。

コンクリート柱が倒れていた。近年とくに保守整備されているようすはなく、放置されっぱなしのよう。
地震国から来た素人目には、柱は細く、基礎もちいさいようにおもわれた。ただウクライナでは地震はあまりおきないらしい。

隣にもうひとつ冷却塔があった。そちらは下のほうをつくりかけたところで放棄されていた。

人造湖の向こう側に見えた二つめの冷却塔。つくりかけの状態で放置されていた。

チェルノブイリは旧ソ連で最大の原発サイトになる予定だったのだそうだ。そのために、こんな巨大な冷却塔を複数建設しようとしたのだろう。

動きだしたミニバス車内から撮影。

その21へつづく。

人造湖とプロメテウス——チェルノブイリを見にゆく 21
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