フィギュアとジオラマの楽園
園内の地図である。南に向いた斜面に、ひな壇状になっており、ざっくりいって5段ある。エントランスはいちばん下。そこから一段ずつあがってゆく。
道の脇にえんえんと、フィギュアとジオラマがならぶ。ジオラマは150、フィギュアは1000体にもおよぶという。
たとえばこれは、いかにも中国の偉人という面持ちの人物だ。アヘン戦争当時の英雄、林則徐というひとなのだそうだ。欽差大臣として英国が清にアヘンを密輸するのを厳しく取り締まった人物だとのこと。
ハウパーヴィラのフィギュアたち
フィギュアは立っているだけ。動いたりしゃべったりはしない。ディズニーランドのオーディオアニマトロニクス(ロボット)ではないのだから、まあそういうものだ。
フィギュアの顔立ちは中華ふうの漫画といった趣である。タッチやテイストは、こまかく見れば数種類に分類できそうだが、おおむねパーク内のほぼすべてで共有されている。もとは誰か特定の絵師が描いたものなのかもしれない。したがって、パーク内にかんしてはそれなりの一定の秩序(統一感)があり、カオス(秩序の不在)と表現するのは必ずしも妥当ではない。
とはいえ、フィギュアひとつひとつが、なぜか微妙にズレた印象を受けるのもまた事実である。少なくとも日本式の「かわいい」からはほど遠い。
白蛇伝のジオラマ大小
ジオラマの多くは、お話を語って聞かすという説話的な形式を採っている。「飛び出す絵本の3次元版」といったほうがいいかもしれない。
これは白蛇伝を描いたもの。男女がたつ橋の橋桁にそう記してあるのが見えるだろう。橋の下では、しっかり白蛇が泳いでいる。
このジオラマは人物の高さが1mくらいはありそうな大きさだったのだが、その隣には、もう少し縮尺の小さなジオラマがあった。こちらも主題は白蛇伝。たたかいの場面を描いたジオラマらしい。
主人公クラスのフィギュアは表情があるのかないのかよくわからないものが多いが、悪役とかその他大勢みたいな役のひとたちの顔は、いかにも哀れというようすであったりして、滋味深い。
パンダとフクロウ
動物のフィギュアも多い。
ジャイアントパンダ、——だろうとおもう。パンダは中国産なので取り上げられこと自体は理解できる。でも、口元が犬のように尖っていやしないだろうか。
岩陰には、小ぶりなパンダが隠れている。なぜか、ずるがしこそうな表情に見えてしまう。
巨大フクロウである。腰くらいの高さだ。妙にキャラチックでもある。
ヒンドゥー教の神鳥ガルーダ、なのかな?
力士ふたりとタイガーバーム
その先では力士がふたり四股を踏んでいた。
力士はどちらも大きい。実物と同じか、もしかしたらそれ以上もありそうな巨体である。
真ん中にはタイガーバームの箱がおかれている。かつて大相撲の景品だった時代があったのだとか。
背中側にまわってみた。まわしのあたりもわりにまじめにつくりこまれている。おしりにもしっかり食い込んでいる。
自由の女神と中華式(?)自由の女神
一段あがると蓮池がある。池のまんなかに極彩色のパゴダがあり、その天井にお釈迦様が鎮座していた。
蓮池の手前にはなぜか自由の女神がたっている。だいぶ小さめだ。
さらにその奥には、中華版の自由の女神(?)がいた。写真の赤い矢印がさしているのが、それ。
中華版自由の女神を近くで見る。ニューヨークやパリの自由の女神に対抗するかのように、同じようなポーズをとっている。でも(容姿も含めて)あんまりやる気はなさそうだ。「やってらんないわよ」と拗ねているようにも見える。
日本式にいえば天女のように見えなくもない。近くにブッダの母であるみたいな説明板があったが、それがこの像をさしているのかどうかは、ぼくにはわからなかった。