利尻登山の翌日、自転車で利尻島を一周することになった。予定にはまったくなかったことだった。
ママチャリを借りる
沓形キャンプ場に長期滞在中のオーストラリア人チャリダーEさんが、自転車で走ってこいとやたらに勧める。同じく長期滞在中のみなさんも口々に「沓形から鴛泊の先までサイクリングロードがあって景色がきれいですよ」などと勧める。そういうことなら、自転車でサイクリングロードを走ってから沓形まで戻り、ディフェンダーで島の南端まで行けばいいかと考えた。
自転車は、どうすればいいだろう? すると、キャンプ場のチャリを借りていけばいいですよ、とみなが言う。これである。
さびさびのママチャリだ。管理人さんのもので、キャンプ場利用者のために貸してくれているのだという。ふだんこの自転車を足代わりにつかっている長期滞在者Hくんいわく「ブレーキが泣くくらいで問題ありませんよ、六段変速ですし」とのこと。
そんなわけで、このママチャリを借り、サイクリングロードをめざして沓形キャンプ場を出発した。時刻は0830。
まずは沓形から鴛泊をめざす
まずは沓形の街を抜ける。役場前に、こんな標識があった。
利尻島一周53kmとあるが、この時点では、まだ鴛泊の先まで行って帰ってくるつもりだった。
鴛泊方面に向かってママチャリを走らせる。自転車自体は快調である。ただ始終立ち止まって写真を撮るので、距離的にはなかなか進まない。
礼文島がすぐそこに見える。
ちいさな神社があった。御神体は利尻山なのだろう。鳥居からのビスタの先には利尻山がそびえていた。この時間だと逆光になるのだが、今日もきれいに見える。利尻にいると、まず山を見て、そしていつもどこかで山のことを考えながら暮らすことになる。
途中から海側にサイクリングロードが伸びているのを見つけた。いい道である。誰もいない。
写真を撮りながら走る。自転車だと車やバイクよりは止まりやすく、速度が遅いから目に入るものも多いが、しかしそれでも気づいたときには通り過ぎてしまっていたということも少なくなかった。
サイクリングロードは道道1076号
サイクリングロードはときどき道道105号(島一周道路の一部)と合流し、しばらく行くとまた分岐、をくりかえす。サイクリングロードも四桁の番号を振られた道道だった。
そして、どういうわけか、4種類の案内板が併存していた。うーん、なに考えてるんだか。
このころには当初のプランを変えて、このママチャリで島を一周するつもりになっていた。沓形から鴛泊を往復すれば30kmだ。これにたいして島一周は53km、実際には多少距離が伸びて60kmだとしても、そう変わりはない──ような気がしていた。冷静に考えれば倍もちがうのだが。
まあともかく日のあるうちには沓形に帰りつけるだろう。