レンタカーを探す ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 2

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイ。第1回は、まずその道の概要を説明した。今回は、レンタカー乗り入れ不可という問題について。

北極海まで走れ ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 1
ダルトン・ハイウェイ(アラスカ)のパノラマ。クリックで拡大します北極海をめざしてフェアバンクスの街は大地にひらたく張りついていた。高層の建物はほとんど見あたらず、平屋の建物が、まるで州花ワスレナグサの群落のように、ひととこ......
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レンタカー会社の制限事項

ダルトン・ハイウェイの走破にあたって、厳しい条件はいろいろあれど、ある意味もっとも過酷な問題は、一般的な大手のレンタカー会社がダルトン・ハイウェイの走行を認めていないらしい、ということだった。

そこで、事前に各社の制限事項を読んでみた。なるほど、そう書いてある。例として某社のものを引こう。

Vehicles may not be driven on poorly maintained or unpaved roads. This includes, but is not limited to: the Dalton, Steese, Dempster, Elliott, Denali and Taylor highways. Should these restrictions be ignored, the driver will be held fully responsible in case of accidents and will bear all consequences, including the cost of repatriation of the damaged vehicle.
[引用者訳: 車輌は、整備状態の劣悪な道路や未舗装の道路を走行することができません。 ここには、ダルトン、スティーズ、デンプスター、エリオット、デナリ、およびテイラー・ハイウェイが含まれますが、これらに限られるわけではありません。この制限が無視され、アクシデントが生じたばあい、全責任は運転者に帰され、損傷車輌の回収費用を含むすべての結果について負担することになります。]

制限事項を考える

ぼくは法律英語の知識に乏しいので、かなりアバウトかつ誤りを含んでいるかもしれない読解であり、読解内容には一切責任がもてないことをご理解いただいたうえで、以下を読んでほしい。

この制限事項を額面どおりに受けとれば、フェアバンクス周辺で走行できるところは主要幹線のみ、ということになってしまいそうだ。

ただ、文言を文言として読むならば、”shall not” ではなく “may not” がつかわれていることから、「禁止」というより、「権利がない」とか「許可されない」と述べていると受けとることもできる。もちろん実質的にはほとんど同じことだけれど、両者のニュアンスは微妙に異なる。

レンタカー会社としては、未舗装路などリスクの高い区域にはなるべく進入してほしくない。しかし現実問題として、いったん貸し出してしまったら、当該レンタカーの行動を完全に監視したりコントロールすることはできない。だから、進入してほしくない区域については、その範囲をなるべく広く解釈できる余地を残したうえで、保証や保険の対象外とする形でもって実質的な効力をもたせてようとしている。そんなところだろう。

おそらく実際には、利用者が制限事項をよく理解しないまま、それと知らずに制限区域を走ってしまうケースもあるだろうとおもわれる。仮にそういうケースがあったとしても、トラブルさえ生じなければ、現実問題としては、ふつうは何事もおきないだろう。

強行策もひとつの手ではあるものの……

こういうケースもありうる。制限事項について承知していながらも、まあ大丈夫だろうと楽観し、強行して行ってしまうという選択だ。じじつネット上での情報のなかにも、それらしき事例が見られないでもなかった。

強行策もまた、上のケースと同様、結果的にトラブルがなければ、何事もおきないだろう。しかし、厳密にいえば契約違反にあたるのかもしれないし、そもそもトラブルがおきない保証はどこにもない。そして万が一のときには、保証も保険も一切効かないのだから、大変なことになる。当人にその自覚があろうがなかろうが、楽観強行策は、相当の覚悟と不可分である。

そんな事情もあってか、ネットで見つけた範囲での英語の情報では、じぶんのクルマを持ち込んでいるケースが多いようだった。それなら、自己の任意保険が有効であれば、制限事項に抵触するレンタカー不可問題はすっぱり回避できる。

日本から訪れたひとの記録でも、自己所有のバイクや自転車のケースが目立った。その背後には、こうした事情も関係していたのかもしれない。

陸走プランの検討

さて、どうするか。

当時ぼくはミシガン州アナーバーに住んでいた。だから、アナーバーでの愛車ホンダ・フィットで、フェアバンクスまで陸路を走ってゆくという選択肢がないではなかった。少なくとも、日本に住んでいるときに比べれば、検討の余地はわずかでも存在した。

しかし、それもまた現実的ではなかった。

ミシガンからフェアバンクスまで、最短ルートをとっても片道3700マイル(5955km)ある。一気に走りとおすだけでも容易ではない。むろんアラスカではダルトン・ハイウェイを走破しなければならず、さらにそのあと、またアナーバーまで陸走して戻ってこなければならない。それだけの余裕は、時間的にも精神的にも、さすがになかった。

それにまた、それだけの過酷で長大な旅に、フィットのようなコンパクト・タイプのクルマがどこまで堪えられるか疑問だった。タイヤは細く、最低地上高も低い。排気量は1.5L、燃料タンク容量も限られるうえに、FF(前輪駆動)。ふだんづかいには(広大なアメリカといえども)打ってつけのクルマだったとはいえ、それで、えんえんとダートのつづくダルトン・ハイウェイを走るのは無謀というものだろう。

そんなわけで、陸走プランは早々にあきらめた。けっきょく、レンタカーでどうにかするほかない。

その3へつづく。

自走以外の手段の検討 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 3
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その3。一般的な大手のレンタカー会社はダルトン・ハイウェイの走行を認めていない。だからといって、ミシガンから陸走してゆくのも現実的ではない。では、どうすればいい?
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