遊園地――チェルノブイリを見にゆく 11

チェルノブイリを見にゆく話その11。前回その10はこちら。

防毒ガスマスク――チェルノブイリを見にゆく 10
チェルノブイリを見にゆく話その10。前回その9はこちら。共同住宅の屋上から降りてきた。また藪を漕ぎ、いくつかの建物を見たあと、少し広くなった場所へ出た。「レーニン通り」と名づけられた大通りだったという。G氏が当時の写真を掲......

外へでると、雨はやんでいた。うっすらと日が射していた。つぎにつれてゆかれたのは、遊園地だった。

プリピャチ遊園地の跡

この遊園地は、プリピャチの若い住民を対象にしたものだ。事故当時は開業直前だったそうで、実際には遊園地として営業(という表現が共産主義の国にあったのかどうかはわからないけれど)したことはない。営業開始以前に放棄されてしまったわけだ。

観覧車。落書きは近年されたものとおもわれる
雨は一時的にやみ、日が射してきた

遊園地とはいえ、昨今のテーマパークにくらべれば、はるかに素朴である。遊具の数も多くない。観覧車、旋回塔、カート、確認できたのはそのくらいだ。いずれも傷みに傷んでいる。

旋回塔の跡

傷んだ遊具と原発事故。その対蹠が強烈なのか、ここは典型的な、いわゆる「映え」する場所だ。これまで何度も写真を目にしたことがある。

カート場の跡
カート場跡の全景

オランダ人青年二人組RとNが、カート場のアリーナに入っていった。1台のカートに線量計をあて、高い値を示すのだといって、顔を紅潮させていた。

その12へつづく。

保育園——チェルノブイリを見にゆく 12
チェルノブイリを見にゆく話その12。前回その11はこちら。遊園地のあとは、また藪を漕ぐ。名前はわからないが、黄色い野草が花をつけていた。キノコも生えていた。黄色い野草の花キノコはあちこちに生えている......
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