虎づくし 1――タイガーバーム子ちゃんたち
蓮池の一段下(エントランスの段のすぐ上)に、今様にいう「ゆるキャラ」がいた。
タイガーバームを宣伝する虎娘と少年ふたりである。「タイガーバーム子ちゃん」と「タイガーバーム太郎・次郎」という感じか。
薮のなかでちょっと傷みもあってうす汚れ、やや忘れられかけているような印象である。手にしたタイガーバームがけなげでさえある。
虎づくし 2――タイガーカー
その奥に建物があって、古いベントレーが展示してあった。
タイガーマスクの車のようである。胡文虎氏の愛車だったらしい。この格好で実際に走行したのだろうか。
もちろんふつう(?)の虎もいる。これは蓮池の近くにいたもの。表情はどこか悲しげである。
「爺虎」と札をさげられた穴にひそむ虎。これは、のちほど紹介する地獄への前哨地にいたものだ。
動物いろいろ
虎以外にもいろんな動物がいる。リアリティのレベルもさまざまだ。
これは十二支を記したもの。
猪八戒だろうか。西遊記のジオラマは、上のほうの段にもあったので、のちほどそちらでも紹介しよう。
十大地獄への前哨
“10 COURTS OF HELL” と大書された看板がたっていた。そちらに地獄があるらしい。
“10 Courts of Hell” を直訳すれば「地獄の十廷」というような感じなのかもしれないが、日本語で「八大地獄」みたいな言い方をするのにならって、以後は「十大地獄」と書くことにする。といっても、のちほど見てゆくように、その内容は日本のそれとは少し違うみたいなのだが。いずれにせよ、地獄に落ちたら落ちたでいろいろ大変のようなのである。
順路を示す矢印にしたがって進んでゆくと、いきなりご無体な姿に遭遇する。みな血だらけである。いちばん高い岩の上のひとは、眼球がびよーんと飛びでてしまっている。
動物たちもいる。たたかっているらしい。かれらも血まみれだ。現世はこのように闘争状態にある、ということなのだろうか。
池がある。「許願池」と記されている。願掛けの池、ということらしい。コインを投げ入れるみたいなことなのかな。滝にみたてた蛇口からドボドボと水が注がれていた。その上に観音菩薩がちんまり鎮座している。
背後にまわると舞台裏が丸見えだ。トロ箱のようなものをタンクとして活用しているようだった。まったく隠す気がないのが、かえって清々しい。
そして地獄と天国、それぞれの関係者とおもわれるひとたちが、姿を見せる。予告編か舞台挨拶のように。
ここまでが前哨、前振りである。この先、いよいよ地獄へ突入する。