サイト・リニューアルもぶじに達成したことだし、2年2か月ぶりに、ハウパーヴィラの話のつづきを再開しよう。前回(その3)はこちら。
地獄の門衛
写真の奥に見える掩体壕のようなこのトンネル状のコンクリート造の建物が「地獄」だ。
手前の注意書きには、まず目的が掲げられている。ここは中国の地獄にかんする伝統的な思想を教える場所だという。展示はその性質上グロくてえげつないから、見る者はよくよく心するように、また子どもに見せるかどうかは親がよく考えて決めてくれ、みたいなことが書かれている(かなり意訳。なお prarental は parental の誤りとおもわれる)。
入り口の両脇には、地獄の門衛、牛頭馬頭(ごずめず)がたっている。向かって左手が馬頭。
そして右手に牛頭。
どちらも、この強面で死者をいたぶるのだ。ギリシア神話でいえばケルベロスにあたる役回りである。
地獄への扉
「地獄」への扉である。このとおり。大きな鋲が打ち込まれている。
さて、「地獄」の門をくぐろう。
十大地獄へ
十大地獄の内部は小さな区画に区切られ、そのひとつひとつに地獄の様相を描いたジオラマ展示がある。「地獄の十廷」というとおり、生きているときの罪におうじてそれぞれ罰をうける場面が、フィギュアとジオラマで表現されているのだ。もちろんここのフィギュアたちも、ディズニーランドのオーディオ・アニマトロニクスのように動いたりしゃべったりするわけではない。
三途の川をわたる場面のジオラマだ。この時点では、死者たちはまだ暢気な表情をしている。かれらを待ち受ける事態の重大さには気づいていないようだ。
地獄におちると、まず閻魔様の前に引き出され、裁判にかけられる。
「裁判」とはいうものの、弁護人はいない。有罪であることは最初から決まっている。裁判では、ただ罪におうじてどんな罰が与えらえるかが申し渡されるだけだ。
地獄で責め苦にあう
罰とは責め苦である。責め苦とは、ようするに、あれこれと肉体的にひどいめにあうことだ。そのようすが、フィギュアでこれでもかというくらいに再現されている。火に投げ込まれたり、化け物におそわれたり、からだを切り裂かれたり。
ここまでされても、地獄は終わらない。責め苦は、まだまだつづく。