えんえんと綴ってきたハウパーヴィラのジオラマとフィギュアを紹介するシリーズ。途中在外研究でまる一年間不在だったとはいえ、なんと足かけ2年がかりだ。いよいよ最終回である。
維持管理活動
フィギュアの手入れをしているひとたちを見かけた。
これだけ多数のジオラマやフィギュアであり、多くはそれなりにきれいな状態で維持されている。手入れをしたり、修復をしたりうする作業は、かなりこまめに行われているはずである。
最初に記したとおり入場料は無料なので、その活動原資は国なりから出ているのだろう。
廃墟の金魚たち
とはいえ、ハウパーヴィラの敷地はかなり広大であり、手のまわっていない場所も少なからずあった。たとえば、ここは最頂部から一段さがったところの片隅にあった、金魚池らしき場所。
金魚はもちろん生ものではなくフィギュアであり、かなり大きい。石づくりの池のようすが、どことなく日本庭園ふうではある。
しかしながら、ごらんのとおり修復作業が追いついていないらしく、放置されて、ほぼ廃墟化していた。
近くには、こんな文字の刻まれた石碑(?)もあった。
「縁の石」とは日本語なのか、それとも昨今東南アジアで流行っている日本語ふうにするために適当にひらがなの「の」を挟んでみたものか、そのあたりはよくわからない。
ハウパーヴィラ・ミッキーズ
パーク中段の広場の中心に、創設者の胡文虎氏を顕彰するパゴダがたっていた。
そこから出口に向かって降りてゆく。
途中で、こんなフィギュアが2体、ならんで立っていた。
ネズミなのかウサギなのか。なんとなくディズニーランドのミッキーマウスを想起させなくもない。ぼくは勝手に「ハウパーヴィラ・ミッキーズ」とよぶことに決めた。
ハウパーヴィラをふりかえって
ハウパーヴィラで意外だったのは、けっこう来園者がいることだ。若者もいれば老人もいる。白人もいればムスリムもいる。いろいろである。
ハウパーヴィラという空間のあり方を簡単にふりかえってみよう。
全体として、なにか独自の信念にもとづいて、まじめにひとを啓蒙しようとする強い意志に突き動かされていることは随所から感じられる。だが、その信念があまりに世俗的であるがゆえに、できあがったものはきわめてキッチュ。意図せざる結果として、摩訶不思議な空間ができあがってしまっているが、当事者としてはそのズレをあまり気がついていない。そんな印象だった。
こんな怪しい場所が気になって仕方がないという奇特な方がいらしたら、このブログの最良の読者でしょう。シンガポールへご旅行のさいには、ぜひ一度足を運んでみてください。
おしまい