ママチャリ利尻一周 2

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ランクル40系を発見する

空港の先で、誘導灯の下に出た。サイクリングロードはこのまま鴛泊の街を迂回して山の中腹に登って行くようだが、ぼくは鴛泊港にあるペシ岬に行って見たかった。道道を鴛泊方面へ走る。

道路脇にランクルを発見した。40系のショートホイールモデル。年代物だが、かなり手を入れてきれいに補修してある。4ナンバーで、サイドミラーがカウルサイドにあり、ワイパーが下から生えているところをみると、1975年ごろのBJ40ではないかと推測される。ほれぼれするようなスタイルである。今年(2014年)は70系が日本でも限定再発されて人気らしいが(個人的にはガソリンエンジンではなくディーゼルにしてほしかった)、このころのランクルはじつに質実剛健な車であった。

ペシ岬に登る

ペシ岬展望台入口と書かれた看板の下にママチャリを停めた。

ペシ岬は、鴛泊港の脇にある伏せた牛の背中のような恰好をした、こんもりした小山状の岬である。これも火山性の地形なのだという。

一段のぼったところにはベンチがあり、小公園のようになっていた。若め──といっても20代後半から30代くらい──の女の子数名がうろうろしていた。山登りという感じではなかった。

ここからペシ岬の頂上まで登る。10分ほどで頂上に到達。立札があり三角点があった。

ここからながめる利尻山も秀麗である。

太陽の熱で温められているためなのか、羽蟻のような虫がわんさとたかっていた。ぼくの服やからだにもたかる。追い払っても無駄なので、早く立ち去ったほうがいい。写真だけ撮って退散した。

中腹のサイクリングロード

ママチャリで利尻富士温泉のほうへ登って行く。途中利尻山神社があった。参道は奥まで続いていたので、なかへ入って参拝する余裕がなかったので、手前の入口のところで手を合わせて勘弁してもらう。

さらに登る。野球場があり、芝の手入れをしている人がいた。温泉までようやっと登ってくると、そのすぐ向かいにサイクリングロードの入口があった。入ってみると、そこからもまだだらだらとした登りが続く。「頂上まで3000m」と標識が出ている。仕方がないので、淡々とペダルを漕ぐ。森のなかを通っているので展望はない。ウォーキングのおじさんやおねえさん、それに家族でレンタサイクルを借りたとおもわれる若夫婦と小さい子どもにすれ違うが、それだけだった。

やがて橋に出た。深い渓谷の上に架けられた立派な橋である。

見下ろすとかなり怖い。左手には鴛泊の港と、さっき登ったばかりのペシ岬が見えた。右手には利尻山。

昨日山頂から見たときに、2-3本、谷に立派な橋がかかっているのが見えた。あんな道路あったかなと思ったものだが、サイクリングロードだったのだ。こんな橋が3本あった。最後にあらわれたのはアーチ橋だった。いちばん手前の橋がいちばん眺めがよかった。

「頂上」というプレートがたっていた。なんの頂上かというと、サイクリングロードの最高地点の意味だろう。

その先は下り。3キロほど続く。その途中にも小さな橋があった。利尻山の背後に雲があらわれていた。

坂を下りきってしばらく走ると、サイクリングロードは北へぐるりと向きを変えて終了した。

向かい風とのたたかい

そこからは島を一周する道道108号を南へ向けてひたすら走る。海岸線に沿って小さなアップダウンが連続する。下りはあっというま。すぐに登りがあらわれる。低いところで海抜3メートル、高いところでは17-8メートル。そのあいだを登ったりくだったり。これを気が遠くなるまでくりかえす。おまけに、南に向かって走っているのに、南風だ。東海岸ではずっと向かい風だった。六段変速のうち、ほとんどの時間帯を1速で漕ぐことになった。

途中、廃校になった小学校を利尻の水の工場に転用しているのを見つけた。利尻山に向かって設置されている小さな神社もあちこちにあった。朝のうちはきれいに見えていた利尻山には、南から雲がかかりはじめていた。

向かい風にめげて路肩に停車して休憩。この場所である。

ふと顔をあげたら、マウンテンバイクにまたがった夫婦がやってきて、隣で休憩していた。奥さんのほうがだいぶバテているようだ。かれらのほうが先に出発したが、ぼくが走り出してみると、意外に近い。旦那さんが横にならんだり後になったりするが、奥さんのほうは思うようにペースが上がらないようだ。この向かい風では仕方あるまい。そのうち、ほとんど追いつくくらいの距離まで近づいた。すると、いよいよ完全にバテたのか、自販機の前でかれらは停車した。ぼくは手をあげて挨拶しつつ、かれらの前を通り過ぎた。

こちらとて向かい風がつらいのは変わらない。なにせママチャリなのだし。登りがきついところは、もう無理せず押して歩くことにした。幸い山道ではないので、ずっと登りが続くということはない。横を、カップルとおもわれる二台のバイクが行ったり来たりしている。何かを探しているのかもしれないが、よくわからない。二台のバイクが路肩でならんで止まっている横を、こんにちはと声をかけて通り過ぎる。すぐに抜き返されたが、追い抜きざま、後ろのライダーが手を振ってくれた。

そうこうするうち鬼脇の街に着いた。そのまま通過。しばらく登ってゆくと、セイコマが現れた。素通りするつもりだったのに、やはり入ってしまった。ウィルキンソンの炭酸ミネラルを買う。店先で、太ったつなぎのおにいさんが、太ったおねえさんと話をしていた。前者が、昨年バイトで来ていた子で、再訪しておどろかれている、という状況らしかった。いまはニセコで働いているのだとか。

ここまで来ればオタトマリ沼は近い。あそこの食堂でお昼にしよう。それだけを考えて、ひたすらペダルを漕ぐ。

オタトマリ沼でウニ丼をたべる

まもなくオタトマリ沼が見えてきた。おどろいたことに、一昨日はきれいに見えた利尻山が、すっかり雲の中に隠れていた。あそこにあんな大きな山があるなんて嘘のようである。

利尻亀一という店に入る。奥の食堂でウニ丼を食べる。もうバフンは終わり、いまはムラサキだという。2800円。ムラサキウニでも、ぼくには十分おいしかった。とろろ昆布の味噌汁に、イカの酢の物、昆布の佃煮、沢庵、お茶は昆布茶。食後にお土産も買う。万年雪という名のソフトクリームもたべた。ちゃんと牛乳の味がしておいしかった。

お土産は、変な格好にひしゃげた前かごに入れた。こういうときママチャリは便利である。先ほど抜かしたマウンテンバイクの夫婦も到着し、ここでお昼にするようだった。

GoogleMapで調べると、ここから沓形まで19km、自転車で41分だとある。どんな自転車を想定しているのだろうか。少なくともママチャリでないことだけは確かである。

ともかく残りの距離を知って一安心。日暮れまでには帰りつけそうだ。

その3へつづく