本州最東端へ
本州最東端の魹ヶ崎(とどがさき)へいってみた。もう一年も前のことなのだけれど、遅まきながら記録をあげておくことにする。
魹ヶ崎は、岩手県宮古市にある。試しにグーグルマップで「魹ヶ崎」と入れてみる。すると、この地名での登録はないらしく、代わりにどういうわけか「魹ヶ崎燈台脇東屋」が表示される。
本州最東端のこの地には灯台があり、航路上の重要なポイントでもあるという。大洗─苫小牧の便もこの沖を通過する。ぼくも洋上からなら何度か眺めたことがある。
下の写真は2013年に、苫小牧へ向けて北上するフェリーの船内から撮影したものだ。中央に魹ヶ崎灯台の姿が白く見えるだろう。「沖あい」というより、岬のすぐ先といってもいいようなところを通っている感覚だった。
端っこへ行ってみるのが好きな習性なので、日本の最北・最東・最西・最南端へは(現実的に一般人の訪問可能な範囲でなら)一度は行っている(最北端や最東端へは複数回)。本州についても、最北端と最南端は訪問済みだ。しかしながら、本州最東端である魹ヶ崎に陸路で訪れたことは、これまでなかった。理由のひとつは、車やバイクで直接乗りつけることができないことにある。
今回初めて行ってみることにした。
重茂半島の狭路を抜けて
震災で壊滅し更地化して防潮堤だけが残る山田市内を抜け、R45を右折して岩手県道41で重茂半島に入り、魹ヶ崎をめざす。
ほどなく林道並みの狭路となる。容易に離合できないほどの狭路だ。生活道路なのでそこそこ交通量はある。山を越えて浜に出たとおもうと更地化した集落跡に出る、ということを幾度となくくりかえす。
姉吉への分岐を右折。集落を抜け、さらに下ってゆく。
ちいさな浜に車を停めて
谷を下りきると、最後に小さな浜に出た。簡単な船着場と小さなデリックがあるだけ。3.11のさい、津波でみな流されたのだろうとおもわれた。
手前に工事関係者用のプレハブの事務所、さらにくだると駐車場と簡易トイレがあった。その先は行き止まりで、そこが魹ヶ崎への入口だった。岬までは、ここから一時間ほど山道を歩かなければならない。
ディフェンダーを停めて、準備を整える。虫よけの自家製ハッカスプレーを全身に吹きつけた。なお登山口にある三角屋根のトイレは閉鎖されていた。用を足すには、先ほどの簡易トイレまで戻る必要がある。
山道を一時間歩く
歩きはじめると、いきなり急な登りとなる。とはいえ、高度は一気にかせぐものの、そこまで急登というほどではない。それに、このあたりは道が舗装されている。
上から浜を見下ろすところに達した。登りはここまで。
3.11の津波到達点を示す札があった。眼下に海面を見下ろすと、その高度差はにわかに信じがたいものがある。
あとはほとんどアップダウンはなく、山腹の標高50mくらいのところにつけられた山道をひたすらトラバースしてゆく。
あたりはナラとブナの林だ。道は平滑によく整備されており、地面は適度にクッションがあって、とても歩きやすい。ぬかるみもないし、ガレているところもない。ふつうの登山とは大違いである。灯台整備のために定期的にひとが入るという事情もあるのかもしれない。
途中で一箇所、丸木でつくられた橋の傷みがひどいので注意して渡るようにと警告が出ていた。
徐々に林が薄くなり、そうしてぽっかり明るいところへ出た。
その先に魹ヶ崎灯台がたっていた。
駐車場から灯台まで、3.8kmほど。写真を撮りながら歩いたので時間がかかったが、それでも65分で歩いた。