プルドーベイで警備員に捕まる ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 24

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その24。北極海に面したプルドーベイに到着した。検問所をすぎてしばらくゆくと、向こうから警備車輌らしい2台の黒いSUVがやってきた。そして、あっというまにぼくのユーコンXLを前後で挟み撃ちにするように寄せられ、強制的に停車させられてしまった。なんかマズイことをしてしまったみたいである。

プルドーベイで警備員に捕まる ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 24
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その24。北極海に面したプルドーベイに到着した。検問所をすぎてしばらくゆくと、向こうから警備車輌らしい2台の黒いSUVがやってきた。そして、あっというまにぼくのユーコンXLを......

黒いSUVから警備員が二人降りてこちらへやってきた。二人とも自動拳銃で武装しているが、警官ではなく、警備員である。こちらでは、こういうときに下手なことをするとほんとうに撃たれてしまう。じっさい、この少し前には、警官が停車させたクルマのなかの黒人を撃つ映像がネットに流れて大騒ぎになった。

さて、そんなわけで、以前に教わったとおりの体勢をとった。すなわち、両手を、警備員から見えるようにハンドルの上部へ置いて、かれらがドアの横に立つまで待つのだ。腕を下に下げると、車外からは見えないため、銃をとりだすのではないかと向こうも警戒するらしい。

警備車輌に停止させられた直後の写真。サイドミラーに映っているヘッドライトが、ユーコンXLの背後につけた警備車輌のもの。撮影した記憶はなかったので、とっさにシャッターを押してしまったのだろう。ただどう考えてもリスキーな行為なので、ぜったいに真似しないように

警備員は二人とも白人の中年男性だった。「検問所で停まらなかっただろう?」という。

「いや、検問所ではちゃんと停まったんだ。でも中に誰もいなかった」とぼくは答えた。

すると警備員は「係員はいたんだよ」といった。「かれらから連絡が入ったから、こうしておれたちが出動してきたんだ」

検問所から先は石油会社の民有地なので一般人は進入禁止なのだと、かれらは説明してくれた。

そういえば、プルドーベイにそういう地区があることは、事前の下調べのときにネットで見つけた資料で読んだ記憶があった。ぼくはなんとなく、立ち入り禁止区域は軍事基地みたいにフェンスかなにかで厳重に囲われていて、誰が見ても中には入ることができないようにつくられているのだろうとおもっていた。だが実際にはそうではなかった。だから、ぼくはスルッと進入できてしまい、いまこうして警備員に囲まれている、ということらしい。

ちなみに、あとで知ったところによれば、プルドーベイの油田を所有している石油会社とは、エクソン・モービルやBPなどのいわゆるオイルメジャーというやつなのだそうだ。こんな北限に油田を掘ってパイプラインまで敷き、多数の人間を送り込んでも十二分に引きあうということだろう。きっと途方もない金額のおかねが絡んでいるのだろうとおもう。

ぼくが事情を説明したところ、警備員たちもさすがに怪しい者でないことはだいたい理解してもらえたようだった。

とはいえ向こうもお仕事だ。このまま放免というわけにもいかないらしい。とりあえず警備員詰所まで連れていかれることになった。

その25へつづく。

警備員詰所にて ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 25
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その25。北極海に面した街プルドーベイは油田のための人工的な街だった。その大部分は石油会社の私有地だ。ぼくはうっかりまちがえてその民有地内に入り込んでしまい、警備員につかまっ......
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