放免 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 26

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その26。北極海に面した街プルドーベイで、石油会社の警備員につかまってしまった。さいわい事情はすぐに理解してもらえたのだが。それでもいちおう警備員詰所につれていかれ、チェックを受けた。

警備員詰所にて ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 25
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その25。北極海に面した街プルドーベイは油田のための人工的な街だった。その大部分は石油会社の私有地だ。ぼくはうっかりまちがえてその民有地内に入り込んでしまい、警備員につかまっ......

ぼくが詰所で書類のチェックをうけたり、質問に答えたりしているあいだ、詰所にいた係員たち(武装はしていない)が、ユーコンXLの車内を調べたようだった。何もでてくるはずがなく、じっさい問題はなかったようである。

かれらにしても職務は職務だ。決められたことをしておかないと、立場上困ることがあるのかもしれない。とにかく手続きとして必要なことはすべてやったうえで、さっさとぼくを帰して、終わったことにしたいみたいだった。

「これでOKだ」といわれた。手続きが完了したようだ。

「いろいろ教えてくれてありがとう」とぼくは礼をいった。すると佐世保にいたほうの元潜水艦乗りの警備員が、「あれは日本語でなんというのだったかな?」という。そして、英語の “you’re welcome” のことなんだが、と続ける。

「どういたしまして」だね、とぼくが教えると、かれは「ああ、そうだった」とおもいだしたようだった。

それから、警備員と係員のひとりひとりと握手をした。いかにもアメリカ的の儀式である。すなわち、おたがい合意した、これ以上ごちゃごちゃしない、という儀式なのだとおもう。

かれらに見送られて詰所を出発した。なんとなく、「出所」という言葉が頭にうかんだ。

さっき通り抜けた検問所へ差しかかった。ゲートは閉じられていた。だが、その手前でユーコンXLを停めると、すぐにバーがひらいた。

その27へつづく。

油田の街のガソリンスタンド ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 27
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その27。北極海に面した街プルドーベイで、誤って石油会社の所有地に入ってしまい、警備員につかまってしまった。さいわい話は通じて、ぶじに放免してもらうことができた。......
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