石垣島の最北端・平久保崎をめざして東海岸づたいに歩く旅その11。前回は、平野ビーチで突如パラセーリングおじさんに遭遇したあと、平野の集落をめざして段丘を登りはじめた話だった。
平野、石垣島最北の集落
浜から平野の集落まで、ゆっくりとした坂道をひたすら登ってゆく。馬小屋のある民家などがたっていた。何軒くらいの家があるのだろう。多めに見積もっても30軒はなさそうな印象だ。それらが肩を寄せあうようにして建っていた。
坂道を突きあたりまでゆく。すると、県道にでた。伊原間から平久保半島を縦貫する県道206は、ここ平野で行き止まりだ。日に数本だけあるバスも、ここが終点である。
平野を抜けて
そのバス停が、これ。赤瓦にシーサーが載っかっていた。
県道をとぼとぼ歩いて平野を東から西へ抜けてゆく。クルマはほぼまったくとおらない。歩いているひとも見かけない。海から吹く風の音や、草葉の揺れる音、虫の声だけだ。
「北のとうだい」という看板があった。宿泊施設のようだった。
後日のことだが、明石から空港へ向かうバスのなかで、南アフリカ出身でいまは香港ではたらいているという白人青年と一緒になった。かれは平野で一泊したといっていたので、もしかすると、ここがかれの宿だったのかもしれない。
平野は海抜40mほどの段丘上にある。ここから北の海をながめると、こんなふうに見える。こういう風景が、ぼくは大好きだ。
平久保崎をめざして
平野の集落を抜けたところで県道をはずれ、右に折れる。平久保崎へ向かう道を歩く。
タクシーやレンタカーがつぎつぎとやってくる。歩いて登るという酔狂なひとは、ぼくのほかにはいなかった。
路傍に生えている灌木。なんという名前かは知らない。東京では観葉植物として商品化されているような植物が、ここではふつうに自生している。
村はずれにはきまってお墓がある。ここをまた右折して、平久保崎をめざす。登りはいっそうきつくなる。
ステンレス製(?)のスノコがかかっていた。下にちいさな流れがあるのだとおもわれる。クルマが通行するときには、甲高い金属音が響く。
平久保崎に到着
左手に、平久保半島の西の海岸線が見えてきた。だいぶ登ってきた。
もうひと登りだ。カーブを左に曲がり、つぎに右にまがる。すると、そこに、猫の額ほどのささやかな駐車場があらわれた。
平久保崎の駐車場だった。クルマは10台も停まれば満杯になりそう。ハイシーズンには、観光のクルマが大挙して押し寄せるため、とても収容しきれないのだという。
この日はオフシーズンゆえ、比較的静かだった。公衆トイレがあり、アイスクリームの移動販売車がでていた。
その12へつづく。