晩成温泉の大浴場——初積雪の十勝を走る 5

初積雪となった十勝をレンタカーで走った話のその5。晩成温泉に到着し、ポスターだらけの館内を抜けて、別棟になっている大浴場までやってきた。

晩成温泉館内のポスターを鑑賞——初積雪の十勝を走る 4
初積雪となった朝、帯広から十勝川河口の大津海岸、ナウマン国道をへて、大樹町の晩成温泉にやってきた。館内はポスターだらけ。それらをひとつずつながめてみる。
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誰もいない更衣室

向かって左手が男性用の浴室だ。更衣室はこんなようす。形は細長く、けっこう広い。

このときは、たまたまほかに誰もお客さんがいなかった。そのおかげで、大浴場の写真を撮ることができた。せっかくなので、内部を紹介してみたい。

赤チン色のヨード泉

浴室は広く、掃除も行き届いている。大きな浴槽の横の窓の外は海岸で、太平洋が見える。

浴槽の中央に、ボールの形をしたオブジェのようなものが置かれている。このてっぺんからお湯が湧き出てくるしくみだ。ウィキペディアの「晩成温泉」の項目の記載によれば、源泉かけ流しではなく、濾過循環方式なのだという。ぼくは、そういうことはあんまり気にしないのだが。

お湯はごらんの赤チン色をしている。写真でおわかりいただけるかどうか。ヨードが多く含有されている温泉というのは、日本ではめずらしいのだそうだ。

実際に湯につかると、赤チン色という表現は、視覚だけでなく嗅覚をとおしても実感できる。匂いも赤チンと同じであるからだ。

赤チンはなぜ消えたか

話は逸れるが、赤チンについて。

赤チンといっても、いまの学生たちなど若いひとはほとんど理解できない。知らないのも無理はない。

赤チンとはぼくたちが子どものころはごく一般的に家庭でつかわれた消毒薬で、患部に塗ると赤く染まった。当時の子どもは、たいていからだのどこかに赤チンの染みをつけて歩いているような状態だった。

赤チンとはマーキュロクロム液のことで、それは有機水銀化合物だった。水銀といってもマーキュロクロム液のそれは必ずしも有害というわけではないらしいのだが、水銀公害問題などの影響もあって敬遠されるようになり、1973年には国内での製造は中止された。今日では、輸入されたものが少量流通しているそうだが、実際には見かけることはほとんどなくなっている。

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洗い場とサウナ

さて、晩成温泉の浴室に戻ろう。

いちばん大きな浴槽の手前に、ちいさな浴槽がある。こちらもお湯は同じく赤チン色をしたヨード泉。ただ温度が高め。湧出口からドバドバとお湯が吐き出されている点も、大浴槽とちがう。

洗い場の全景である。シャンプー、リンス、ボディソープは用意されている。腰掛け用の椅子が数脚おかれているのは、ときどきお湯からあがってここに腰掛けて涼むためのものだろう。そうやって長い時間浴場ですごす年配の利用者が多いのだろうとおもわれる。

サウナも併設されている。個人的には、サウナを利用する趣味はないので、外から写真を撮っただけ。温泉や銭湯にはサウナ併設というところもあるけど、これまで利用したことは数えるほどしかない。

サウナの横には水風呂(?)も用意されている。

ベランダから海をながめる

晩成温泉には露天風呂はない。個人的には、露天風呂がなくてもちっともかまわない。露天風呂はないが、浴室からサンダルを履いて外へでる扉はある。扉をあけて外へでると、そこにはちいさなベランダがある。

木製のベンチがおかれている。手すりの向こうは海岸で、その向こうには太平洋がひろがっている。

海岸段丘の上に建っているから、海からは少し高くなっている。茫洋と、とらえどころなくひろがる風景は、いかにも十勝の海岸である。ぼくの好きな風景である。

その6へつづく。

晩成温泉を出発——初積雪の十勝を走る 6
初積雪の十勝をレンタカーで走る旅その6。晩成温泉をあとにして、ふたたび雪道へ走り出す。
十勝 2018/12
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さんぽのしっぽ

長谷川 一 明治学院大学 文学部 教授。博士(学際情報学)。専門はメディア論、メディア思想、文化社会学。散歩旅を愛好。メインブログ「散歩の思考」。

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