アラスカ車中泊事情のその5。前回その4はこちら。
ダルトン・ハイウェイやフェアバンクスだけでなく、デナリでも車中泊をした。そのときのことも書いておこう。
デナリ国立公園の入口に、ウィルダネス・アクセス・センターがある。パーク全体の受付所みたいなところだ。ぼくが到着したのは夕方だった。駐車場は混雑していた。夜明かし駐車・キャンプ不可、と記された看板がでていた。
センターのカウンターで、事前にネット予約しておいた翌朝のワンダーレイク行きのバスのチケットを発券してもらった。キャンプ場の空き状況を訊ねると、すでに一杯で、車中泊はできないとのこと。受付の女の子は冷たく、ハイウェイ(州道)へでて左(北)へ少しいくと駐車スポットがたくさんあるから、そっちへいけば? みたいなことをいった。
いちばん近くのキャンプ場まで行ってみた。やはりテントサイトは満室となっていた。ただ貼り紙がでており、クルマのない(Withoutの語の下にマーカーがひかれていた)テントのみの希望者は要相談と付記されていた。ぼくのばあい車内で寝るのでテントサイトは不要なのだが、そういう事情は考慮されていないみたいである。キャンピングカーだらけの夏のアラスカでは、車中泊=キャンピングカーという図式が前提されているのかもしれない。逆にいえば、乗用車ならお目こぼししてもらえるかもしれない、とちょっと期待する。
駐車スポットの偵察にいく。州道(AK-3)まで戻り、左へ折れて、2kmも走ると、ドライブインやらホテルやらが建ちならんだ、にぎやかなエリアがあった。建物の多くはハリボテ感満載だ。「デナリ」の看板を借りて夏の3か月間で稼げるだけ稼ぐことだけを目的にしたような、うすっぺらさ。昔の清里みたいなところである。
その手前に駐車スポットがあった。狭いが、公衆トイレもある。だが、積極的に利用したいという場所ではない。どうしてもだめなときにはここへ避難すればいいか。アラスカに限らず、アメリカは、車中泊しやすいようにはまったくできていない。これに比べれば、あちこちに道の駅があって24時間トイレがつかえるという日本の状況は、まるで天国のようだ。
デナリ国立公園へ戻る。デナリのパーク内は一本道だ。州道から24kmほど奥までは一般車両でも通行できる。その先は、許可車以外は進入禁止となっている。
州道から折れてパーク内へ入り、右手にウィルダネス・アクセス・センターを見ながらさらに進むと踏切を越え、アラスカ鉄道の駅がある。その先に、ビジターセンターがある。先のウィルダネス・アクセス・センターが各種手続きの受付所なのだとすれば、こちらのビジターセンターはデナリの自然にかんする知識や情報の提供を目的とした施設である。
すでに2000をまわっており、ビジターセンターは閉鎖されていた。でもトイレはつかえた。近くに独立したトイレ専用の建物がもうひとつあり、そちらも施錠されていなかった。ここの駐車場には、夜明かし駐車・キャンプ不可という看板はでていなかった。
駐車場は一般車輌用とRVパークの二つにわかれており、後者のほうには、キャンピングカー数台を含めて、たくさんのクルマが停まっていた。そこで、RVパークの隅のほうにユーコンXLを駐めた。車中泊が可能かどうかはわからないが、とにかく今日はここでいったんおしまいということにする。
その6へつづく。