テント泊装備で燧ヶ岳に登る 5——第2日後半

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三条の滝までくだる

元湯小屋から三条の滝まで50分、荷物も無料で預かりますとあった。持参した古い地図だと30分とか40分と書かれていたような気がする。実際に歩いてみると、1時間かかった。道はぬかるみ、岩や木の根が露出して歩きにくく、しかも急下降したりする。

いいかげんくたびれてきたころ、沢に出た。一度とおりすぎたが、ふと思いなおして引き返した。ザックをおろして、プラティパスに水をくんでおいた。沢で水を汲むのは意外にむずかしかったが、とにかく半分ほど(1Lほど)汲んだ。これがこののち非常な助けとなった。このときの水がなければ、死んでいたかもしれない。ついでに顔も洗った。しょっぱかった。

そこからまた坂を上ると、三条の滝分岐だった。とおりすぎて10分ほど歩くと、三条の滝の展望台に出た。

滝を遠くから眺める。水量はけっこうあり立派なものだが、まあ滝は滝でしかない。ほぼ同時に老人男性のグループがどやどやとやってきた。写真だけ撮ってすぐに出発した。

三条の滝分岐からの苦しい急登

三条の滝分岐まで戻り、左折して御池方面へ向かう。しかし、ここからとんでもない急登のつづら折りとなった。

一歩踏みだしては休憩するというののくりかえし。どこまで登るのか。荷物のせいなのか膝のせいなのか単純に体力が落ちているのか。右足のかかとが痛い。靴擦れになったようだ。昨日は気づかなかったので、今日なったのだろう。靴が少し緩かったかもしれないし、今日のソックスが化繊のものであまりよくなかったのかもしれない。いずれにせよ、この靴(スカルパ)では右の踵が靴擦れになりやすいような気がする。

へとへとになりながら、なんとか急登を登りきって尾根へ出た。あとで調べると、800mほどを行くあいだに標高差で200m以上登っている。急登なわけだ。

尾根に出たものの眺望はなし。樹林帯のなかをとぼとぼと歩く。温泉小屋から直接来る道と合流するはずなのだが、なかなかあらわれず。そのうち、標識が見えた。渋谷温泉小屋との分岐点、兎田代であった。渋谷温泉小屋は今年は営業休止だそうで、道も悪いらしく、行くひともほとんどいないようだ。そもそも裏燧林道ルート自体、ほとんどひとに会わなかった。

ザックをおろして休憩。行動食のどら焼きを食べた。結果的にこれがお昼となった。ナルゲンボトルの水はぜんぶ飲んでしまった。プラティパスに汲んでおいた予備の水をナルゲンボトルに移した。この水のおかげで、御池まで歩きとおすことができた。

裏燧林道の長い長い歩き

ここから御池まで5.6kmと表示されていた。少し歩くと、温泉小屋から、三条の滝を経由せず直接こちらへやってくる道と合流した。標識によれば御池まで5.4km。ひたすら歩く。

眺望はなく、ただただブナの森のなかを歩く。木道はけっこう傷んで歩きにくい。燧ヶ岳もまったく見えない。もう少しひらけた林間の道を想像していたが、実際にはかなり閉鎖的な雰囲気だった。じぶんの位置もよくわからない。

ひたすら歩いていくうちに、大きな谷にでた。立派な吊り橋がかかっている。沢は土砂崩れがあったみたいで、ちょっと荒れていた。

地図によれば、この先に天神田代という分岐点があるという。だがけっきょくそれらしい場所は見あたらなかった。ぼくが気づかなかっただけかもしれない。そのため、なかなか天神田代につかない感じがして、じぶんがちゃんと裏燧林道を御池に向かって歩いているのかどうか確信がもてず、不安であった。地図と地形を照らしあわせて、いちおう大丈夫だろうとはおもうのだが。

ひたすら歩き、ひたすら時間がすぎてゆく。歩いても歩いても景色は変わらず、展望はひらけない。アップダウンが連続するが、全体としてはゆるゆると登っているようだ。暑い。風も吹かない。途中で、御池から来た若者男性二人組に行き会っただけ。

いくつもの湿原を抜けて

1330ごろ、小さな湿原に出た。あとで調べると、ノメリ田代という場所らしかった。その先は、森を抜けると湿原、というパターンがつづいた。

横田代を抜ける。すると看板がたっていた。御池まで2.0kmとある。兎田代の標識を基準に考えると、3.6kmを1時間半で歩いた勘定になる。もう1時間も歩けばいいのだろうと考えると、気が楽になった。その先を降りたところで、母娘(といっても、娘がすでに30前後くらいだったのだが)の二人組と行き会った。1345。御池を1307に出てきたという。ここまで40分くらいかかって登ってきたわけだ。つまり、少なくともあとそのくらいで御池、ということ。

その先に、大きな湿原があった。上田代という場所らしい。真ん中にベンチがあったので、ザックを降ろすことなく腰かけて休憩。塩飴をなめて、水を飲んだ。谷から風がわたってきて気持ちがよい。黄色い花や、紫のアヤメのような花も咲いていた。おもわず「きれいなところだな」と声が出た。

ようやく下山

そこからはもっぱら下り。かなりの割合で木道が敷いてある。やがて、左手に大きな湿原があらわれた。御池田代である。木道はひじょうに幅広く、立派なものになった。そうしたら、そのすぐ先に、昨朝の燧ヶ岳への分岐があった。すぐ先が駐車場だった。1426下山。

よく歩いた。ザックを降ろして、ディフェンダーのフロントバンパーに立てかけた。

シャツもズボンも、シャワーを浴びたくらいにぐしょ濡れだ。飲んだ水は大方汗となって流れ出てしまったようで、トイレはほとんど必要としなかった。登山靴を脱ぎ、サンダルに履き替える。ザックを荷室にしまう。ディフェンダーを始動し、御池駐車場を出発。駐車料金は1000円。日にちではなく、入場一回につき、という料金体系のようだった。

坂をぐんぐんくだって檜枝岐に戻り、燧の湯につかった。500円。フロントのおじさんに教えられたスキー場の前の交流センターで、檜枝岐そばを買った。あとは一昨日来た道を戻るだけ。田島→那須と走って、西那須野塩原から東北道で帰った。

おしまい

燧ヶ岳 2015/07
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長谷川 一 明治学院大学 文学部 教授。博士(学際情報学)。専門はメディア論、メディア思想、文化社会学。散歩旅を愛好。メインブログ「散歩の思考」。

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