平久保崎をめざして —— 石垣島平久保半島東海岸を歩く 1

平久保崎は石垣島の最北端である。そこまで、歩いていってみることにした。

平久保崎から東をながめる。平野の集落とそのビーチ、奥に突き出ているのが浦崎だ。環礁が島を取り囲んでいるのがわかる
スポンサーリンク
スポンサーリンク

自然と生活が織りなす平久保半島の風景

石垣島の北東部に角のように延びている半島を平久保半島という。平久保崎は、その先っぽのことだ。

グーグルマップで地図を示す。空港や離島桟橋のあるあたりとは異なり、石垣島北部は山がちの地形である。とくに平久保半島は北から山当山、安良岳、久宇良岳と、標高200-300mほどの山がつづく。トルム層という、石垣島最古の地層を観察することができる。人口は疎で、いくつかの集落が半島の西側に散在し、そのあいだを県道206が結んでいる。

平久保崎の近くには平野という集落があり、これが平久保半島最北端の集落だ。東海岸には、明石(あかいし)より北に集落はなく、後述するように、一般道もない。かつては途中に安良という集落があったが、津波被害などの影響もあってか、1912(明治45)年に廃村となっている。

このように、平久保半島の、とくにその東側の地形はけっこう険しい。そして、そうした険しさとうまくつきあいながら、大規模な農園や牧場がひらけ、ひとびとの生活が息づいている。グーグルマップで地形モードや衛星写真モードに適宜切り替えてごらんいただけると、そうした平久保半島の自然と生活の塩梅が、いっそう詳しく理解できるとおもう。

いっぽう平久保崎は、石垣島有数の観光スポットでもある。最北端の地をめざし、多くの観光客が訪れる。大半は観光バスかレンタカー利用だ。県道206を北上してやってきて、ちいさな駐車場にクルマを駐め、ほんの5分ほど歩いたところにある展望台から景色を眺めるのだ。見終わると、またすぐレンタカーで引き返してしまう。平均滞在時間は15分から30分といったところだろうか。

正直いって、もったいないことだ。自然と生活の織りなす平久保半島の風景を、もっとじっくり見ていけばいいのに。

そこで平久保崎まで、徒歩で行ってみることにした。

ルート概略

ルートの概略を説明しよう。

出発地は半島の中ほどにある明石(あかいし)という集落である。往路はそこから東海岸を歩いて平久保崎までゆく。復路は県道206を歩き、また明石まで戻る。具体的にルートを地図に示してみよう。

距離は往路約14.5km、復路約10kmで、計24.5km。グーグルマップと地図蔵による距離測定で算出された数字だが、概算である。実際の距離は、おそらくもう少し長かったのではないかとおもわれる。

一般道のない東海岸

なぜ、ふつうにグーグルマップの目的地に「平久保崎」と入れてルートを敷き、そこに表示される距離を参照しなかったかというと、それには理由がある。

先にも少し触れたとおり、往路の東海岸には一般道がとおっていないのだ。

より正確にいえば、農道のような未舗装路が、海岸から少し入ったところを走ってはいる。しかし一般車輌はほとんど通行せず、またところどころにゲートが設置されているのだという。基本的には、牧場作業のための車輌が通行する道路らしい。この農道を歩くことも可能という話だったが、ぼくは海岸づたいに歩いてゆくことにした。

ところが、ネット上の地図サービスでは通常、海岸づたいなど、道路のない箇所にルートを引けず、距離を表示させることができない。地図上で任意の地点間の距離を測定するためには、ちょっと手をかけてやる必要がある。方法は検索していただければすぐにわかるとおもうので、詳細は省略する。たとえば、以下のサイトを参考にされたし。

Googleマップで距離・面積を測定する方法【iPhone/Android/PC】
Googleマップには、地点間の直線距離や線で区切った場所の面積を調べられる機能が備わっています。そこで今回は、iPhoneやAndroidスマホで「Googleマップ」アプリを使って、あるいはパソコン(PC)向けのWeb版Googleマップを使って、距離や面積を測定する方法を解説します。

単純な2点間の距離ではなく、海岸線に沿った距離を測るとなると、もう一手間かかる。出発地点と目的地とのあいだに無数に中継ポイントをくわえて、できるだけ海岸線に近似させるようにしてやる必要があるからだ。

このような距離測定機能は、グーグルマップだけでなく、地図蔵でも利用できる。上にあげた地図は後者で作成したものである。

403 Forbidden

さて、そんなわけで、この歩き旅は、まず明石の集落から始まる。

その2へつづく。

明石から出発 —— 石垣島平久保半島東海岸を歩く 2
石垣島の最北端である平久保崎まで徒歩でゆく旅その2。まずは出発地点である明石(あかいし)のちいさな集落を抜けて、浜へでる。浜はひろびろとしていた。シーズンオフとて、ほかにひとの姿はまったくなかった。