石垣島の最北端である平久保崎まで徒歩でゆく旅その4。前回は、なぜ一般道のない東海岸を歩いてゆくことになったかという経緯を記した。
そんなわけで、舞台はあらためて明石の集落を抜けた砂浜に戻る。
砂浜の白
ふたたび朝の明石の浜。上の写真は北側を撮影したものだ。往路はこれから、海岸づたいに島の北限まで歩いてゆく。
砂浜の白がどこまでもつづく。このときはシーズンオフで曇りがちだったのでそこまで鮮烈とはいえなかったが、夏なら、この白いビーチは真っ青な空と海とコントラストをなして印象的にちがいない。
石垣にかぎらず、琉球諸島の島々の砂浜はたいていこのように白い。それは、珊瑚が死んで白化したものや貝殻が堆積しているからなのだということを、どこかで読んだ。つまり、南の海の生物たちの死骸でできているのが、この砂浜の白なのだ。
だから、沖縄の島々の白い砂浜は、たんに底抜けに美しいのでない。どこか静謐で、幾分かのさみしさともの悲しさを含んでいる。
ビーチの花たち
そんな砂浜を踏みしめて歩いてゆく。足下には、1月だというのに花が咲いていた。
これは、グンバイヒルガオ。浜のあちこちに伸びて咲いている。
これはなんだろう? モンパノキだろうか? 浜の隅のほうに生えていた。もしモンパノキだとしたら、これからぐんぐん生長して、けっこう大きな木になるのかもしれない。
砂浜に転がる大量のゴミ
白い砂浜で目にするものは、それだけではない。大量のゴミも、漂着して転がっていた。
錆びたドラム缶、ペットボトル、発泡スチロールなどなど。
ハンドボールくらいもあろうかという電球も転がっていた。イカ釣り漁船の集魚灯かなにかだろうか。
砂浜には車輌がとおった轍が残っていた。まだそれほど時間は経過していないように見えた。その轍のところに、ペットボトルがいくつも、挟まるようにして転がっていた。
プラスチックの籠。これも漁船から投棄されたもののようにおもわれる。
この木製のテーブル状のものは、ケーブルか何かの巻き取り芯のように見えた。
なぜゴミが漂着するのか
これら大量のゴミは、白い砂浜には似つかわしくない。宿主のおじさん・おばさんによれば、海流の影響で、東海岸には多く漂着するようだという。石垣島の南側からまわりこんでくる海流によって運ばれてくるのではないか、とのこと。西海岸にはこれほどの漂着ゴミは見られないのだそうだ。
ペットボトルのラベルには、日本語のものもあるが、多くはハングルや簡体字・繁体字のものだった。漁船など船上から不法に捨てられたものもあれば、陸地近くから流れに流れてやってくるものもあるようだという。
とくにプラスチック・ゴミは自然界で分解しにくい。細かく壊れてマイクロプラスチックとなり、海洋生物の体内に入ってしまう。かなりの深海にいる生物からもマイクロプラスチックが検出されたとかで、汚染は想像以上に深刻化しているという。
東海岸を埋め尽くすとまではいかないまでも、白いビーチにあふれる大量の漂着ゴミを見ると、海洋ゴミによる汚染がどれほどひどいか、嫌でも考えさせられる。
明石の浜の北端へ
海とゴミをながめつつ、砂浜に足をとられながら15分ほど歩く。ふりかえると、トムル岳がだいぶ遠くになっている。
弓なりになった明石の浜の北端に到達した。目の前に、ちいさな岩場があらわれた。
結果的にいえば、東海岸歩きのルート上の最大の難所は、意外にもこのちいさな岩場だった。というのは、このときちょうど満潮の時刻と重なり、この岩場を乗り越えざるをえなかったからだった。
その5につづく。