石垣島の最北端である平久保崎をめざす徒歩旅その13。東海岸ぞいを歩き、5時間かけて平久保崎へ到達した。復路は県道206を歩いて帰る。
県道ぞいの風景
県道206を歩いて戻る。往路に比べると、書きとめておくことはあまり多くない。沿道に民家はほとんどない。少し奥まっているためか、海もあまり見えない。道の両側には、農地がひろがっている。
歩道は片側だけにあった。だが、しばらくゆくと消滅した。歩くひとはほとんどいないだろうから、まあやむをえまい。
それでも、黙々と歩いているうちに、やがて海沿いにでた。
ぼくが写真を撮っている背後を、クルマが通り過ぎてゆく。こちらに視線をやっているようだが、停まる気配はない。せっかくの風景、ゆっくり見てゆけばいいのに。
平久保の集落を抜けて
40分ほど歩くと、平久保の集落に達した。小学校の校庭のたたずまいがすばらしい。生徒と先生たちが、鉢植えに水を撒いていた。
平久保のバス停である。時刻表を見る。これを見ると、バスは一日に4本くらい、だろうか。
平久保の集落をすぎて坂道をのぼってゆくと、ケータイの通信塔を建設中だった。これはKDDIのものらしい。
平久保崎から遠く離れて
うしろから観光タクシーがやってきて、右手に折れて停まった。じつは、ぼくもそこへ行ってみるつもりだった。地図に「平久保ビーチ」と書いてあったからだ。
草むらを抜けていってみると、ちいさな砂浜があった。タクシーの乗客は年配の家族づれ。女性ドライバーが観光ガイドも兼ねているみたいだった。
その先も、淡々と歩く。舗装路だからストックはもうつかわなくていい。午前中は砂浜で足をとられながら歩いていたが、午後は固い舗装路なので膝にくる。当初は往復とも県道を歩くつもりだったのだけれど、それだとさすがにしんどかっただろう。肉体的にも精神的にも。
路肩の側溝に落ち葉が積もり、植物がはえていた。県道は、基本的にはクルマのための道であり、ひとが歩くことはほとんど想定されていない。
ふりかえってみると、平久保崎がはるか遠くに離れて見えた。ずいぶん歩いてきたものだ。
峠を越えて、明石へ
空は薄い雲に覆われているが、ときどき晴れ間がでる。午後4時をまわり、日はだいぶ西に傾いてきた。
最後の峠を越える。少しくだってゆくと、視界がひらけた。
太平洋とトムル岳に挟まれて、ちいさな明石の集落が見えた。帰ってきた。
その14へつづく。