降りしきる雪のなか、対向車ともほとんど出会わないまま、十勝の太平洋岸に沿ってナウマン国道(R336)を爆走した。そうしてやってきたのが、大樹町にある晩成温泉だった。
晩成温泉に到着
晩成温泉は、すっかり雪に埋もれていた。
とはいえ積雪量はまだそれほど多くはない。数センチ、せいぜい10センチたらず、といったところだろう。駐車場はすでに除雪されていたが、3台ほど駐車していただけ。いずれも従業員のクルマらしく、ずいぶん端に停めてあった。
事前に調べたところでは、営業は午前9時から、ということだった。この雪でも、開いているかな?
入口は開いており、たしかに「営業中」の看板が掛かっていた。
ぼくの好きな晩成温泉
ぼくは、世の中によくいる温泉愛好家というわけでは、まったくない。ところが、この晩成温泉はなぜか好きで、これまで何度も訪れている。メイン・ブログ「散歩の思考」でも、何度かとりあげた。
「温泉」といっても、晩成温泉には肩肘を張ったようなところはまったくない。関東の著名温泉地のように、むりやり「伝統」や「高級」っぽさを演出してなどいないし、すっかり一大産業となった日帰り温泉施設のような、ビジネスビジネスした雰囲気からもかけ離れている。ほぼ銭湯のようにして、地域のなかに自然に溶け込み、地元のひとたちに愛されている。
そしてなにより好きなのが、あたりの地形である。人家から遠く離れた茫洋たる十勝の海岸で、目の前に太平洋がひろがっている。そんな雰囲気が、ぼくは好きなのだろう。ちなみに、グーグルマップで場所を示せば、以下のとおりである。
晩成温泉に入館する
さっそく入館してみよう。
入ってすぐに靴を脱ぐスペースがある。靴は、右手にある下足箱に入れる。
「フロント」と書かれた看板がさがったカウンターの脇に自動券売機がある。ここで入場券を買う。一般500円だっただろうか。大樹町民であればもっと安く利用することができるようだ。
受付のおばさんに、いま買ったばかりの入場券を手わたす。おばさんは「ポイントカードはお持ち?」と訊く。持っていませんと答えると、「つくります?」。いくら好きな場所とはいえ、ポイントカードをつくるほど頻繁に来られるわけがない。いや、大丈夫ですと断ると、おばさんは、そうですよねという顔をした。あきらかにこのへんの人間ではないとわかるのだろう。
なお、前に来たとき(というのはもう数年前になるのだが)には、ポイントカードというシステムはなかったような気がする。2018年1月に小火騒ぎがあったそうなので、そのあと集客のテコ入れに導入されたのかもしれない。
建物は大きくて、館内はがらんとしている。これも北海道の温泉にはよくあるつくりだ。フロントの傍らにあったロビーのテーブルには、木彫りの鴨がおかれていた。
季節柄、クリスマスツリーも設置されていた。奥にはガチャガチャやゲーム機がおかれ、ささやかなゲームコーナーになっていた。
その手前、写真でいうとツリーの左隣は売店で、土産物がおかれていた。十勝や大樹のお土産品がいくつか。それにくわえて、ネパールのファブリックやバッグなどもならんでいた。十勝でネパールとは。
その4につづく。