旧市街地のはずれにぽっかりそびえる岩山を登って、山頂へ。そこには、古くからの砦の名残であるゲディミナス城(ゲディミナス塔)が建っていた。
ゲディミナス城からのビリニュス市街をながめる
山頂部には、かつてはゲディミナス城という砦があった。いまここに建っているゲディミナス塔は、その一部である。ただし三階部分が増築されるなど、改変されているという。
向かって左手から、旧市街をながめる。
赤色の屋根がつらなり、そこから突きだすようにして、教会の尖塔が無数にそびえている。
iPhoneでパノラマ写真も撮ってみた。クリックで拡大します。
反対側からは、街を横断して流れるネリス川をはさんで、新市街が見えた。旧市街と異なり、こちらには高層ビルも建っている。
工事用トラックの下山
ゲディミナス塔の屋上にはリトアニアの国旗がはためいていた。山頂部は擁壁工事の最中だったが、営業はしているらしい。しかし、入口の扉は閉じられていた。看板によると、まだ開館時間の前らしい。
看板をながめていると、工事の現場監督のような感じの中年男性に声をかけられた。かれは「開館は10時だよ」と教えてくれた。まだ45分もある。このあと、ぼくは会議のひらかれるカウナスまで移動しなければならない。残念だが、ゲディミナス塔に昇るのはあきらめた。
下山しようとすると、工事現場から黄色いトラックが出てきた。ふつうのダンプカーとはちがい、急傾斜地を昇降できる特殊な車両のようだった。
トラックは、土を捨てにゆくために下へ降りようとするところらしかった。玉石で舗装されて派手にデコボコしているうえに、狭くて急傾斜の道を、トラックは慎重に降りていった。
トラックを見送ったあと、ぼくもゆっくり歩いて下に降りた。
トロリーバス
下山するとすぐに広い通りにでた。バスが頻繁に往来している。トロリーバスである。こちらは比較的新しめの車両。
そしてこちらは、やや古い車両だ。
帰国後に学生たちに訊いたら、かれらはトロリーバスを知らなかった。そういうものなのか。トロリーバスとは、内燃機関ではなく、空中架線からポールで集電して走る、いわば路面電車のバス版のことだ。
ぼくのなかでは、トロリーバスといえば、旧共産圏の街と結びついたイメージがある。
麓のナショナル・モニュメント群
ゲディミナス城の北から西にかけての麓には、いくかの博物館やナショナルな記念碑がならんでいた。
これは、国立博物館。背後の岩山とゲディミナス塔が見えている。
こちらは、リトアニア大公宮だ。
大公宮の手前に建っている塔が、ビリニュス大聖堂である。写真では、この大聖堂は少し傾いているように見えるだろう。レンズの関係でそう映っているだけかもしれないのだが、しかし実際にぼくが現地で見たときも、少し傾いているように見えた。
中学生か高校生の集団がわらわらとやってきて、大公宮に入っていた。歴史教育の一環なのだろうか。ナショナル・モニュメントとは一般に、国家の正統性や偉大さを表現するものであり、それをひとびとに感得させるものであるだろう。
旧市街の裏手を歩く
再び旧市街地に入る。そろそろホテルへ戻ってチェックアウトしなければならない。
投光器が設置されて、煌々と明かりが点灯していた。なにかの撮影なのだろうか。
ここはビリニュス大学の建物である。上の写真では小さくて判読しづらいかもしれないが、左端の建物の壁にちいさな札がかかり、「大学」と記してあった。旧市街のなかに埋め込まれるようにして存在する何棟かの建物でもって構成されていたのが、いかにもヨーロッパの古い大学らしかった。
石造りの旧市街地のなかは、公園など緑地帯をのぞくと、緑は少ない。路面も壁も石。
旧市街地の中心を南北に抜ける通りから一本入ると、工事中の箇所があった。
一般公開されていないらしき古い教会もあった。まだ修復作業が追いついていないようにも見えた。
よく見ると、街の至るところに監視カメラが設置されていることに気がついた。建物の外壁に目だたないように取り付けられている。これによって治安が保たれているともいえるし、ビリニュスもまた監視社会化がすすんでいると見ることもできよう。
そうして、再びホテルまで戻ってきた。