学会のあいまにカウナス市内をうろうろしてみた。その話のつづき。
看板建築と木造二階家
ダウンタウンというのか、街を構成しているのは、主として低層・中層の集合住宅なのだが、表通りから一本入ると、戸建てもある。
この建物は、日本でいう「看板建築」みたいなつくりで、ファサードだけ石造りっぽくしてあった。なにかのお店らしかったが、このときは閉まっていた。Oregonaという看板がかかげられている。アメリカのオレゴン州と関係があったりすのだろうか。
木造の二階家もあった。二階の一部が歩道の上まで張り出している独特のつくりが印象的だ。一階はバーであるようで、夕方になってふたたび前を通りかかったときには、けっこうにぎわっていた。
オレンジのシェアバイクとスーパーマーケット
ところどころに、シェアバイクのスタンドらしきものが見受けられた。
観光客向けなのか、地元のひと向けなのか、趣旨はよくわからない。自転車はどれもこの写真にあるようにオレンジに近い色で塗られていた。街中で自転車に自転車に乗っているひとはときどき見かけたが、この色のものを見た記憶はない。オフシーズンだったからかもしれない。
関係があるのかないのかは不明だが、こちらのスーパーマーケットのブランドカラーもオレンジだった。街中のスーパーゆえか店内は広くなかった。ぼくはお土産用のお菓子を探しに来た。店内の一画にお菓子コーナーがあった。クレジットカードもつかえたし、店員さんも意外にも(といっては失礼だが)親切だった。
石畳のダウンタウン
市内から西へ延びるビリニュス通りを歩いてゆく。ビリニュスとはつい数日前にいた現在の首都のことだ。そこへつながる道、という意味なのだとか。
大通りをアンダーパスする地下道をくぐると、またカトリックの教会があった。
教会の建物のファサードに埋め込まれたイエスと対峙するかのように、向かい側には、こんな怪物(?)の像があった。
魚のようでもあり、フクロウのようでもあるが、何なんだろう?
ビリニュス通りは、ここからさらに西へと延びている。ずっと石畳だ。敷き詰められた石は、ひとつひとつかなり丸みを帯びている。その石の感触を一歩一歩たしかめるようにして、歩いてゆく。
観光客向けの通りのようだ。両側は土産物屋と飲食店がならぶ。しばらく歩いて、Linas-Medisという土産物屋に立ち寄った。ここで、リネンのストールを買う。たしか20ユーロほどだったとおもう。リネンは、リトアニアの特産品のひとつなのだという。お店の場所は下のとおり。
さらに西へゆくと、カウナス城があるのだが、時間切れで、学会会場へ引き返した。
夕闇のカウナスに歌声が響く
学会初日の夕方からレセプションがあった。会場は徒歩30分ほど離れているという。それで、参加者全員、小雨の降るなか歩いて移動した。
こんな新古典様式っぽいホールがあった。写真を撮っていると、別の参加者が「あれは何なの?」と質問された。ぼくが、知らない、ただ写真を撮っているだけだ、と答えると、「なんだ、写真を撮っているからてっきり詳しいのかとおもった」と言われた。
レセプションは大学が所有する迎賓館みたいな建物でおこなわれた。なんだかよくわからないまま、二階のホールに着席させられた。しばらく待っていると、大学生くらいの若者たちがやってきた。そして、リトアニアの古い民族音楽のパフォーマンスを見せてくれた。
iPhoneで短いビデオも撮ったのだが、ここに公開していいのかどうかわからないので、当面は写真とテキストによる説明だけにしておく。
男の子のたちは、木管のラッパのような伝統楽器を演奏し、女の子たちは歌をうたう。
その歌は、しかし近代的な形式をもった歌ではない。ひとりが声をだしながらその音程を上下させる。するともうひとりが、少し遅れて同じように声をだす。さらに、もうひとり、といったぐあいに、3−4人で声をだして、輪唱のようにして重ねてゆく。
その歌声に、はっきりとしたメロディはない。歌詞はあるのかもしれないが、もちろんぼくには理解できない。彼女たちの歌声は、歌というよりも、動物の吠えるような、あるいは風がうなるような音の響きのように聞こえた。ふしぎな音楽だった。
その17につづく。