峠の朝 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 19

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その19。13時間走り、夜中ちかくになって、ちいさな峠にあった駐車帯に入って仮眠した。白夜の北極圏は、夕景を見せてはくれるものの日が暮れることはなく、そのまま朝を迎えた。北極圏は、夏至からひと月たったいまでも、まだ白夜なのだ。

白夜の夕景 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 18
峠の駐車帯にて世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その18。大陸分水嶺であるアティガン峠を越えて、雨のツンドラ帯を走り抜け、ちいさな峠にあった駐車帯に入った。湿地にかこまれてユー......
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白夜あけて

0530に目が覚める。雨はやんでおり、明るかった。すっかり朝になっていた。

目が覚めてすぐ、まだシュラフにくるまったまま、車中からリアウインドー越しに撮影

眠りは浅かったが、時間から推察して、ひとサイクルは眠ることができた。

日本医師会のホームページによれば、ぼくたちはノンレム睡眠とレム睡眠を90分ずつくりかえしているらしい。だから睡眠は、3時間単位だと寝覚めがよいみたいである。

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雨がやんでいたので、車外へでてみた。ユーコンXLの背面にびっしりこびりついていた泥が、雨で洗い流されていた

峠の朝

パン2枚、バナナ、野菜ジュース2本で朝食。

持参の食料の一部。フェアバンクスで仕入れたものもあれば、それ以前に手に入れたものもある

寝ているあいだはシュラフのなかでも寒かったので、折りたたみ式のダウンを羽織ることにした。

峠の朝。気温はおそらく摂氏5-6℃

支度をしていると、隣にいたトラックが先に出発していった。昨晩ぼくより遅れてやってきたやつだ。

トラックと書いたが、正確にはトレーラーである。トラクターが貨物のトレーラーを牽いている形で、ひじょうに長大である。

出発してゆくトラックを撮影。トラクターのキャブ(運転席と仮眠スペース?)が巨大

ダルトン・ハイウェイは、いまも物資や石油を運ぶ路線として、このような巨大なトラックも走行可能なようにつくられている。

ただ、そのつくりは、日本の基準では道路扱いされないような簡素さである。基本的なつくりは、湿地なり森なりをつぶして砂利を敷いて踏み固めておしまい——みたいな程度だから。

これから進む方角をのぞむ。湿地帯に砂利を盛って踏み固めた道路の造成方法がよくわかる

ふたたび出発

0655ぼくも出発した。このペースでいけば、午前中のうちにはプルドーベイへたどり着くことができそうだ。

駐車帯があったのはちいさな丘の上だったから、走りはじめると、いきなり下る。

全体にはフラットな地形だが、細かい起伏が連続する。写真は谷にさしかかろうとするところ

ツンドラ帯のため樹木はなく、氷河地形ゆえに大地はゆったりしたカーブを描いており、はるか地平線まで見通すことができる。

そのあいだを、道路はパイプラインと絡まりあうようにして走る。

その20へつづく。

泥濘地獄 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 20
プルドーベイをめざして、再び走りはじめる世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その20。アティガン峠でブルックス山脈を越え、さらにツンドラを走った先にあった峠の駐車帯で車中泊した。翌朝、雨はやんでいた。ベ......