道路工事のおじさんと話す ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 29

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その29。フェアバンクスから500マイルを走破して到達した、北極海に面した街プルドーベイ。一時、石油会社の警備員に拘束されたものの、ぶじに放免。給油をすませ、ジェネラルストアにも立ち寄った。

極北ジェネラル・ストア ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 28
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その28。北極海に面した街プルドーベイで、石油会社の警備員につかまり、詰所でチェックを受けた。さいわい、ぶじに放免してもらえることになった。ジェネラルストアへ......
ジェネラルストア前に停車時点のユーコンXLのメーター。トリップはフェアバンクスからの距離(512.2マイル)を示している。その間の平均燃費は22.2mpg(1ガロンあたりの走行マイル)で、日本流に示せば、約3.7km/Lくらいだとおもう(計算あっているかな?)

さっきの警備員の話によれば、このあたりが、ダルトン・ハイウェイの終点らしい。でも、標識も碑も見つからなかった。目に映るものは、泥だらけの道路に、プレハブの建物と建設資材、それにトラックや作業用車輌ばかり。

ジェネラルストアの奥は行き止まり。そこから長大なタンクローリーがあらわれた

さて、そろそろ帰途につくことにしよう。1305。ダルトン・ハイウェイは一本道だから、来たのと同じ道をまた戻るだけだ。

プルドーベイ(デッドホース)の街中にあった外気温表示計は華氏44度(摂氏6.7度)を示していた

デッドホースの町を出たところで、いきなり停止。また通行止めである。先導車がつくらしく、それまで待機を強いられる。

デッドホースの街をでてすぐ、通行止めで一時停止。前方のトラックの脇に、工事のおじさんの姿がちいさく映っている

作業着のおじさんが、待機しているクルマを一台ずつまわっていた。ぼくのユーコンXLの番が来たとき、どのくらい待つのか訊いてみた。「15分くらいかな」という。

「どっから来た?」

「ミシガンから」

そうぼくが答えると、おじさんは「デトロイト空港なら立ち寄ったことがある」という。

「デトロイトの街もおもしろいよ、夜をのぞけば」とぼくがいうと、かれはちょっと片笑いしてみせた。

しばらく立ち話をした。おじさんは都市工学で学士号をとったらしい。プルドーベイには9か月間の約束で来ている。いま2か月すぎたところなのだという。

「長いね」とぼくがいった。

「なに」とおじさんは答えた。「残りたった半年ちょっとだ。そう悪くもない」

そう言いながら、目をそらした。表情は複雑だった。雨の吹きさらすなか、クルマを駐めなければならない立ち仕事である。けっして楽な仕事ではない。なんというか、こういうひとがドナルド・トランプに投票するのかもしれないな、とおもった。

おじさんは、話を終えると、背中をまるめて立ち去っていった

その30へつづく。

復路はひたすら ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 30
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その30。フェアバンクスから500マイルを走破して、北極海に面した石油掘削のためのキャンプ、プルドーベイに到達した。あとは来た道を帰るだけだ。先導車があらわれ......
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