アラスカ車中泊事情のその8。前回その7はこちら。
フェアバンクスから600マイル超の道のりを走破した。ようやくホーマーが近づいてきた。
海に面したホーマーのちいさな街は、あっというまに通り抜けてしまった。その先には、カチェマック湾へ突きだすように細長く伸びた砂州があった。アラスカ州道1号 (AK-1) は、その砂州の真ん中を走り、先端まで続いている。
砂州の幅は狭い。左右どちらにも海が見える。北海道の尾岱沼みたいだ。
砂州の大部分は私有地らしい。駐車場やら安手のレストランやらが林立していた。キャンピングカーもごろごろ停まっている。民間のRVパークなのだ。俗の中の俗という風情の近景にたいし、遠景はすばらしかった。湾をはさんだ対岸には、分厚く垂れ込めた雲の下に、氷河が見えた。この風景を見たとき、来てよかったとおもった。
行楽客でごったがえす砂州を抜けて先端までやってくると、そこにはランナバウトがあり、脇にちいさな駐車場があった。そこにユーコンを駐めた。AK-1の最南端、終点であり、起点である。この先は海だ。道は、もうない。
時刻は2140。トリップメーターによれば、アンカレッジから228.2マイル、今朝のフェアバンクスからだと約660マイルだ。これを12時間40分で走ったことになる。
終点の駐車場の脇にはホテルがあった。その名もLand’s End。景色のいいところはたいがい民有地になっている。それ自体がカネを生むからだ。いかにも資本主義の総本山アメリカらしい。
駐車場の目の前は砂浜だった。桟橋があり、公衆トイレがあった。
隣のフォード・エクスプローラーは地元の若者二人組で、釣りにきていたらしい。後ろのハッチバックをあけて腰かけ、時間をかけて仕掛けをつくっていた。
車内で晩ごはんをたべているうち、2300をすぎて日が暮れてきた。一度パトカーが近くまで来たが、駐車場の手前でUターンして帰っていった。
0000すぎ。さすがに外は暗くなった。
同じアラスカとはいえ、北極圏とは気象もちがえば、風景もちがう。北極海に面したブルドーベイは、ここから1000マイル以上も北になる。
そのままシュラフにもぐりこんだ。車中泊。
その9へつづく。