パイプライン見学と洗車 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 37:最終回

世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その37(最終回)。プルドーベイまでの全線を、ぶじに往復し、また戻ってきた。

完走 ―― 爆走アラスカ・ダルトン・ハイウェイ1000マイル 36
世界でもっとも過酷な道のひとつ、ダルトン・ハイウェイを走破する旅その36。北極海に面した石油掘削のためのキャンプ、プルドーベイからの復路。ユーコン川をわたり、ダルトン・ハイウェイ起点の碑めざして走る。ユーコン・リバー・クロ......

ダルトン・ハイウェイの起点の看板のある場所から先、道はアラスカ州道2号線に変わる。あとは、2-3箇所の短いダートをのぞけば、フェアバンクスまでの80マイルはずっと舗装路である。ただ山道なので、オートパイロット(クルーズコントロール)はつかいにくい。

アラスカ州道2号にて。また雨に降られた

ダルトン・ハイウェイは、つぎつぎに変わる状況に刻々と対応しながら走る感覚だった。それにくらべると、舗装路は変化に乏しく、淡々と走る感じである。周囲の風景はなだらかな地形の上に針葉樹のまばらな森がつづいている。北極圏の内と外とでは、その風景はだいぶちがう。じっさいに行ってみてよくわかった。

フェアバンクスが近づいてきた山の尾根道で、雨に降られる。舗装路の雨中走行で、クルマのいたるところに付いた泥は、多少は落ちてくれるだろうか。

途中で黒いディフェンダー110とすれちがった。これからダルトン・ハイウェイへゆくのだろう。デナリにつづいて二台目。いやダルトン・ハイウェイの奥地でも一台見たような気がするので、これでアラスカに来て三台目の目撃か。

トランス・アラスカ・パイプライン見学場の碑

州道2号線が片側二車線にひろがった。フェアバンクスまであと10マイル。その手前にトランス・アラスカ・パイプラインの見学場があったので、Uターンして戻ってみた。

パイプラインにかんする説明パネル

パイプ内の構造体が展示してあった。内部は空洞なのではなく、スクリューのようなものが入っている。それがおそらくはオイルの流れでもって回転し、流れを促進するしくみのようであった。

パイプ内部の構造体を説明するための模型

つかい古されたスクリューの実物もおかれていたが、表面は落書きだらけ。そういえば、北極圏の碑の裏側も、コールドフットのお店のトイレのあたりの壁も、一面の落書きだった。ああいう行為に国境はないようだ。

こちらは退役したパイプ内部の構造体。表面には落書きが刻まれている

見学場は野ざらしで、道路脇に駐車スペースと簡単なパネルがあるだけ。白樺が数本植えられ、小さなクリークがあり、雰囲気は悪くなかった。

トランス・アラスカ・パイプライン。間近で見ると、径は意外に大きくない

フェアバンクス市内へ戻ると、そのまま洗車しにいった。Car Washの看板はこれまでもときどき見かけた。日本のそれと同じようなコイン洗車だが、日本と違うのは、ガソリンスタンドに付属しているケースが稀であることだ。洗車は洗車専門の店が別にある。

たまたま市内で信号待ちをしたところ隣にCar Washの看板を見つけたので入る。

コイン洗車のブースがいくつかならんでいる。一回$3.50ドル。クォーター(25セント硬貨)14枚で払えという。両替機もあったが作動しておらず、隣の(同経営とおもわれる)コインラインドリーへいって、そこの両替機をつかった。$20札しか持ちあわせていなかったのでそれを投入したら、クォーターが(当然ながら)80枚もガチャガチャとでてきた。スロットマシーンではあるまい。店員の黒人のおねえさんにお願いして、$15ぶんは紙幣に戻してもらった。

コインを投入してモードを選び、あとはノズルで噴射するだけ。日本と同じ方式だ。泥を落とすことが目的なので、ハイプレッシャーを選んで流す。

泥は流れ落ちるのだが、水をかけ続けるかぎり、あとからあとからいくらでも流れでてくる。タイヤやホイール、下回りも泥だらけ。ざっと泥を落とすのが精一杯だった。でも今回はざっと落ちればよしとする。

ところが「ざっと」であったとしても$3.50では3分間しかつかえず、それでは時間が足りなかったため、けっきょくもう1回追加することになった。それで、手持ちのクォーター硬貨はきれいになくなった。

洗車してさっぱりしたユーコンXL

わざわざレンタカーを洗車するというひとも、あまりいなかろう。ふつうレンタカーに愛情をいだくことはない。ましてや、ぼくの好みとはいいにくい典型的なアメ車、フルサイズSUVのユーコンXLが相手では。

でもこのときばかりは違った。ユーコンXLは、ぼくのダルトン・ハイウェイの旅の大事な相方だった。かれのおかげで、北極海のほとりまで、あのえんえんと続くダートの道を走破できたのだから。ありがとう、ユーコン。

この項おしまい。

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